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宇宙の酒粕

ワイン 掌編小説

現在ワープの技術が確立され、何光年も先の星へ時間跳躍し約1分ほどで到着することができるようになっている。

我々の任務はもし地球が滅亡した場合の新たなる移住先の発見と、新天体の観測だ。

近年は旧暦の星々は爆発を繰り返し、昔描かれた天体マップが頼りにならなくなっているから、マゼランのごとく手探りで天体の地図のようなものを作成しなければならない。

配置をできるだけ正確に記録するべく、熱心にレーダーを眺めるものや、気楽に星々の食や気候を調べるものもいる。

大気の状況もあるので、まずは機体に付属のカプセルで砂や空気を採取し、分子レベルで解析を行う。

新たな惑星が見えてきた。

とはいっても地球よりは小規模な球体が周りにいくつも並んでいいる。

しかし、いつももて来た惑星とはことなり緑と青の部分が目立つ、

それもそれらの特徴を兼ね備えた星々がいくつも並んでいる。

「ここは何光年目の場所だ?」

解析を行っている隊員に問うと、7光年先の世界だという。

光の速度で7年。

地上では高速とされる光も宇宙では限りなく遅く、もう地球との通信は途絶えている。

報告しようにも1通の報告が7年後か。

これはワープで戻ってから報告したほうが圧倒的に早いなと私は心のうちでも思った。

「なんだこれは・・・・こんなことがあっていいのか。」

分子や地表上の成分を解析していた隊員が思わず声を上げた。

どうしたと問いただすと、この宇宙から酒粕が採取できたというのだ。

「それは誠か?」

「はい、確かにこの成分は地球上の酒粕と酷似しています。ほぼ間違えなくといっていいほど酒粕と断定してよいと思います。」

いろいろ調べていくと、その星には地球同様に空気が存在するが、冬という概念は存在せず、四季は秋どまりで突然に春がやってくるようだ。

これらは砂と、宇宙服を着たままいったんその星へと降りた隊員が観測した断層から読み取れた情報だ。

近辺の星々も調べたが、どうやらどの星々も酒粕が大量に採取された。

「いったん私も降りてみる。」

自主的にそう告げると、私は先に降りた隊員を追うように目前の星へと足を運んだ。

能動的に砂に触れてみる。

すると顔に近づけていくと、すでにその砂そのものからお酒の香りが漂ってくるのであった。

こんな不思議なことがあるのか。

偶然遭遇した住民に話を聞いたところ、英語は通じずなぜだか日本語が通じた。

どうやらそこでは標準語として広めた日本人らしき人物がいたのだそうだ。

いや正確には日本語に似た言語だ。

酒について問うと、この地はひとりでにお酒が造られ、噴火の名残としてそこらへんに酒粕が散らばっているのだ。

なんだか私もこの星に自然と惹かれていった。

酒好きだけに。

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