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怪盗恋バナ

怪盗 掌編小説

「あかりって好きな男子とかいるの?」

「えーいないよぉ。」

「本当?あかりって結構かわいいから彼氏の一人でもいそうなのに。」

「本当に本当。彼氏いない歴=年齢だからさ。」

恋愛に関する話は何気にみながするものだが、若年時はまだモテなくても自分は大丈夫などと思うことが多い。

そして年齢を重ね、あの人に告白しておけばよかったなと後悔するものである。

無論、草食系男子というように恋愛に一切興味のない人がいるのも事実だ。

そんな恋愛事情をしってか片想いを何とかして両想いにしようとしている者がいた。

校舎屋上にて、

「屋上なんかに呼び出してどうしたの?何か人には言えない頼み事とか?」

男子は手に汗を握りながら高鳴る鼓動を抑えつつ、そして自分の想いを素直に率直に伝えた。

「実はさ、炊事遠足に行ったとき、彩名の料理スキルに惹かれて、そこからずっと毎日君のことをみるようになったんだ。つまり・・・だな。」

言いたいことはただ一つ、君が・・・。

「彩名君のことがす・・・。」

「私のことが何?」

「あれ・・・?俺何を言おうとしたんだっけ?」

「えー知らないよぉ。」

急激な変化。

最近、告白しようとすると急に冷めるなんて事件が多発している。

いったい誰が何の目的でそしてどうやって恋心を盗んでいるのか。

高校内部でも誰もが知っている大きな話題となった。

「新聞部に取り上げられるなんて、よっぽど注目浴びてるんだなー。」

よし、今日もたくさんの恋心の入手に成功した。

もうすぐあの子は僕の彼女になるんだ。

そう思うと心が躍った。

早くその日が来てほしい。

僕のことを好きと言ってほしい。

一番の人だと言ってほしい。

そして、最終的に僕らは結ばれるんだ。

そう確信していた。

だけれど・・・。

「恋愛泥棒、他人の恋心を盗む怪盗。通称怪盗恋バナ。なんで校内のやつらがこのことを知っている。こんなに事が大きくなるなんて想定外だ。」

そう本心から思っていた。

これだけことが大きくなれば、あの子ももう気づいているのかもしれない。

そして進んでみな恋愛をしなくなる。

そうしたら必ず俺が浮いてしまうだろう。

「停学かぁ・・・。いやだなぁ。もっとあの子と疎遠になるなんて俺には耐えられないよ。」

二週間後。

予想を覆すかのように逆に恋愛する者が増えた。

冷めるのは盗賊の仕業じゃなく、きっと気持ちが本物じゃないからというデマを新聞部が出したからだ。

みんな情弱で本当に助かった。

これで心置きなく今まで通りに最高に気持ちが高ぶっているときの恋心を手に入れることができる。

心はウキウキしていた。

いよいよ明日だ。

彼女。

浅川麻美を放課後の空き教室に呼び出した。

そしてポケットサイズのマシンを使ってありったけの恋心を浅川へと注入していった。

浅川が肩で息をしている。

きっと動悸が激しくなっているのだろう。

息が少し荒い。

いいぞ効いている。

「ちょっと私どうかしちゃったみたい。」

「いいさ、ゆっくり聞いてくれて。実は今日告白するために君をここに呼んだ。」

「ごめんなさい。私あなたのことまだ知らないし、好きじゃないわ。」

「え?」

今好きじゃないっていったか。

そんなはずは・・・。

これでうまくいくはずだと思ったがやはり噂のせいか。

「でも私を好きになってくれてありがとう。今度は私に本物の恋を教えてね。じゃぁ私はこれで・・・。」

そう言って彼女は立ち去った。

本物のということは・・・ばれたということなんだろう。

ばらされる、明日すべてが終わっている。

しかし、後日になっても俺が職員室に呼ばれることはなかった。

そしてむしろ彼女との距離は近づいた。

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