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8月後半のハンバーグ

ハンバーガー 掌編小説

幼少のころからハンバーグは好きだ。

もともとは肉のあまりものをまぜこぜにした貧乏人の食事だったらしいが、自身も比較的裕福ではない性に合っていると感じている。

通常は牛肉を使うものだが、我が家では稀に豚肉で調理することがある。

通称ブーバーグだ。

おそらく造語の類と信じているが、我が家では呼称している。

だがこれら両者にも該当しないハンバーグ、すなわち牛肉と豚肉の混合物のハンバーグが出る月がある。

それがお盆過ぎ、8月後半に作られるハンバーグだ。ちょうどお盆の時期に作られることもあるが、我が家は自炊が一般なので購入は価格変動に左右される。

とは言ったものの、混合して売っているものの中で調理済みのものは目にしたことがないというか、人気を獲得するのは難しい気がする。

こっそり牛肉に豚肉を混ぜてハンバーグとして販売したとしても、どうしても味と歯ごたえでばれてしまう。

豚肉のほうが脂身が多く柔らかいイメージがあり、逆に牛肉は筋肉部分がしっかりしていてフレッシュな感じだ。

あと口のすっきりさでいえば牛肉のほうが断然上だろうという人のほうが多いに違いない。

我が家で豚と牛の混合でハンバーグを作るようになったのは、複数の魂を吸収し、体力づくりをするという意味合いからきているが、結婚後に妻がネットから仕入れた情報がきっかけだ。

宗教まがいで、ネット情報ということで実に信ぴょう性を欠いていると感じているが、妻の作るハンバーグは頬が落ちるほどおいしく、レストランで出るような噛むとものすごく柔らかさを感じるほど、絶妙な火の通し方をしているので年に一回のそのハンバーグすらも楽しみにしている。

無論、牛肉だけ、豚肉だけのハンバーグでもとても良いのだが両方の肉の特徴と味を堪能できるとなると、どこかお得感を感じるものである。

「今日は和風か。」

「デミグラソースのほうがよいかった?」

「僕は和風のほうが好きかな。子供たちもこっちのほうが好みみたいだし。選択は間違っていなかったと思うよ。」

「そう、ならよかった。」

食品に詳しくないのでキノコの名称はわからないが、白く細いキノコがあんかけにされてハンバーグの上に乗せられていた。

そのほか、ジャガイモとにんじんのバター炒めが添えられており、スタミナ飯とでもいうような肉好きにもってこいの料理だった。

少々野菜も取れるのはこの組み合わせならではで、和風ソースと絡むと野菜とマッチしていて舌がとろけていく。

「8月下旬のハンバーグは僕にとっては記念日みたいなものだな。」

「そんな大げさな。でもうれしいわ、喜んでくれて。また来年安売りすると思うから待っててね。」

どうやら混合物は年に一度の安売りらしかった。

そういえば普段は売ってないような。

店頭にとっても記念日だったか。

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