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川下りする婚姻届

川 掌編小説

川の下り上り。

その川はたくさんの婚姻届によってできている。

川は下流から上流へと昇るように動いており、物理法則なんてものを無視している。

流石天界といったところか。

私は人間の幸せを第一に祈っているのだが、どうしようもないケースがあってそれに該当すると婚姻が解消される何か悪い出来事が起こる。

それが川下りする婚姻届である。

通常とは逆に移動するそれは、下界でいろいろとことがうまくいっていない人に見られることが分かっている。

あれを放置するとほかの婚姻届が巻き添えを食らってしまうため、それを避けるべく婚姻届を川の外へと取り出すのだ。

そうして取り出されたそれは、処分される。

つまりシュレッダー行きだ。

その作業が行われた時点から起算して二日後に下界に影響が出始める。

どうにかしてあげたいと思うが今のところなす術はない。

「私陽性だって・・・どうしよう・・・とりあえず籍入れよう、ね?」

「私、あなたのこと愛しているの。」

「僕もだよ。僕たちの愛は永久に曇ることはない。」

様々な理由があって人は婚姻届を出す。

「あんたたち私たち親に無断で籍を入れるだなんてどういうつもりなの?」

望まれぬ結婚もある。

話たらこの人といられなくなる。

彼女はAV女優だから。

理由・・・数えるのを飽きるくらいのもので様々なレパートリーがある。

愛といっても表現の幅は広い。

だが読み上げた彼らのエピソード的に婚姻届は解消されてしまうだろう。

人はほとんどの人は今しか見ていないのだから。

そんなことで本物の愛を、長い恋をすることは不可能だ。

僕は恋を邪魔する者なのかもしれないが、私の職場は多数派の支持だ。

ただそんな中でも、すべての人に等しく愛をはぐくみ続けてほしい。

だから何か良い方法はないか思案した。

なかなか名案は浮かばなかった。

それでも私はブレストした。

そしてある一つの答えに行きついた。

天界で吊り上げた婚姻届。

それの提出者に向けて差出人不明の手紙(中身は別れないように助言を書いたもの)を出すことだ。

神の力を最大限に活用して手紙を作成し、送ってゆく。

送ってすぐに効力はなかったが、二日後にはその力を発揮していた。

なんと今まで逆方向へ進んでいた婚姻届は正規のルートをたどって流れていた。

その情景を目の当たりにした私はいたく感動した。

これで婚姻が解消される人が大きく減少することだろう。

数か月後、この功績が社内でたたえられ私は昇進した。

位が上がったのはもちろん嬉しいが、あの時頑張って方法を確立しておいてよかったと思う。

これで救われる人が増えるのだから。

「いやー君は実にすばらしい。」

「おめでとう。」

拍手と喝さいが場内に響き渡った。

少し照れながらも私は

「ありがとう。」

そう一言、何度も返した。

そして今後も私の確立した方法を使って、多くの人間を救い平和の維持に徹してほしい。

平和な姿は作るのも見るのも楽しいから。

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