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継続するヘアゴム

女性 掌編小説

正月、初詣に言った記念に運勢が上がるヘアゴムを購入した。

つけて何かしらの努力を積み重ねると運がたまり、その運を使って物事を有意義に進めることが可能なのだという。

そんな夢のようなアイテムが神社に置いてあった。

こんなものを見て怪しいだとか思う人もいるかもしれないが、私は純粋に言葉を信じて買った。

見た目はピンク色の普通のヘアゴムだからこれ一つでご利益があるとは誰も思わないだろう。

ヘアゴムをしてからというもの私は家事の手伝い、勉学、部活といろいろなことに全力を注いだ。

それで努力値がたまり、ご利益を受けられると信じていたからだ。

そしてある日、ヘアゴムの欠点に気づいた。

それは度の願いをヘアゴムが叶えてくれるのかを選べないというところだ。

だから和足は常にここぞというときに運が付いてくるように、運勢が上がるように努力し続けた。

でも・・・。

私のその行為に反して身体は悲鳴を上げたようだ。

私は熱を出して寝込んだ。

「最近いろいろ頑張りすぎたのよ。ゆっくり休みなさい。」

優しい母の声が耳に届く。

嗚呼、母にいろいろ頼ってやってもらっていちゃ運気が下がってしまう。

早く感知して今日の分を取り戻さなければ・・・。

病にかかる前と同様に一日の様々なことに勤しんだ。

たまに厄介ごとに巻き込まれることもあったけれど、努力値を増やすために何とかして乗り越えた。

時は流れて、高校三年生になった。

受験シーズンということもあり、一瞬たりとも気は抜けなかった。

第一志望の国立大学に入るために、あらゆる分野の勉強を何日かに分けて頭に叩き込んでいた。

模試判定はBで自分的には安心できない、一歩間違えれば落とされてしまうかもしれない。

自分より優秀な学生が多くいたら自分は受からないと不安なことが頭を過るから私はひたすらに運勢を上げる意味も含めて勉学に励んだ。

そして本番を迎えた。

比較的軽快にペンが進んでいたと思う。

だから今回は模試より自信があった。

数日が過ぎて大学から大きな封筒が届いた。

中を開けてみると合否通書と書かれた紙が入っていた。

中身を読むと合格の二文字が書かれていた。

受験準備期間中、ずっと下りなかった肩の荷が下りた。

「やったよ。お母さん大学受かったよ。」

「よかったわね。毎日本当に頑張っていたから。努力が実ってよかった。」

両親は私と一緒に大層嬉しそうに喜び、称賛してくれた。

「きっと努力値をためたおかげだね。」

「努力値ってあのヘアゴムのことだったわよね。」

「そうだよ。これのおかげで私が受かったも同然なんだから。」

それを聞くと父が大笑いした。

「まったくお前は母さんそっくりだな。」

状況を飲み込めない私は唖然としていた。

「母さんとヘアゴムって何の関係があるの?」

「実は母さんが高校生だったころからそのヘアゴム、神社で売られてたんだよ。神社で売られてるってだけでご利益があるってわけじゃないんだ。」

「え、じゃぁこれってただのヘアゴムってこと?」

「そういうこと。騙されて努力したやつが結果、自力で夢を手にしただけの話さ。努力は誰にでもできることじゃない。だからお前はすごいことをやっていたんだぞ。」

それを聞くと、自分のやってきたことが誇らしく思えた。

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