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おばけのすごろく

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夏休みの最後の日。翠は友達の康夫と一緒に、家の庭ですごろくをしていた。

「ねぇ、康夫くん、このマスに止まると何が起こるの?」

翠は興味津々で康夫に尋ねた。

康夫は少し考え込んでから、にっこり笑って答えた。

「このマスに止まると、お菓子の山を一つもらえるよ。」

翠は大喜びで手を叩いた。

「やったー!それじゃあ、頑張るね!」

すごろくのコマを振って出た目は、「6」。

翠は喜びの声を上げながら、進んでいく。

途中、翠は「おばけのマス」に止まってしまった。

「えっ、これはどういうこと?」

翠は不思議そうに康夫を見つめた。

康夫はにやりと笑って答えた。

「おばけのマスでは、おばけが出てくるかもしれないけど、翠ちゃんは勇敢なんだから、大丈夫だよ。」

翠は少し不安そうな表情だったが、勇気を振り絞って次のマスに進んだ。

すると、そこには本当におばけが現れた。おばけは透明な姿でぼんやりと浮かんでいて、少し不気味だった。

「きゃーっ!」

翠は驚いて声を上げたが、すぐに立ち直り、おばけに向かって手を振った。

「こんにちは、おばけさん!」

おばけは驚いたように瞬きした後、にっこりと微笑んだ。

そして、空中に浮かぶ手で手を振り返した。

「おばけさん、一緒に遊んでくれる?」

翠はおばけに尋ねた。

おばけは喜んで頷いた。翠とおばけは一緒にすごろくを進んでいく中で、次第に仲良くなっていった。

途中、翠は「お花畑のマス」に止まった。

「このマスでは、綺麗なお花を一輪もらえるんだよ」

と康夫が教えてくれた。

翠は嬉しそうにお花を手に取り、おばけに見せながら言った。

「おばけさん、このお花、綺麗でしょう?」

おばけは頷いて微笑んだ。翠はおばけにお花を渡し、おばけの手にも一輪のお花が浮かび上がった。

「ありがとう、おばけさん。これからも一緒に楽しく遊ぼうね!」

翠は嬉しそうに言った。

おばけは幸せそうに微笑んで、翠と一緒にすごろくを進んでいく。

そして、ついにゴールのマスにたどり着いた翠。

「おめでとう、翠ちゃん!」

康夫が手を叩いて祝福した。

翠は大喜びで康夫と抱き合った後、おばけに向かって手を差し出した。

「ありがとう、おばけさん。一緒に遊んでくれて、本当に楽しかったよ。」

おばけは微笑みながら、少し透明な手で翠の手を握った。そして、風になって消えていった。

翠はおばけの消える様子を見つめながら、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。

「また来年の夏休みに、おばけさんとすごろくで遊ぼうね。楽しみだな。」

翠はひそかに心の中で誓った。

翠の夏休みの最後の日は、すごろくとおばけとの出会いで彩られ、心に温かい思い出が残ったのであった。

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