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くじ天気予報

天気予報 掌編小説

現代では自由自在に気象を操ることができるようになり、地震以外の天才が起こることは全くなくなっている。

晴れ、曇り、雨、冬のみ雪も付加して天候を変更する。

これを確認すべく、皆は天気予報を見ることが習慣化している。

予報とはいっても気象庁がくじ引きで決定した天気をそのまま再現するというものだ。

「今日は晴れだ。洗濯物を屋外に干せるし、友達の家にも遊びに行けるな。」

そうと決まればさっそく連絡を入れると、ちょうど暇していたということで、ゲームセンターで四人でホッケーをすることになった。

「いやぁ外出するの一週間ぶりだよ。因みに学校はノーカウントね。」

「確かにそうだよね。」

「気象予報士のくじ運が悪すぎるんだよ。普通連続で雨何て引かないと思うよ。」

「意外と雨が好きなのかもよ?」

その発言に首を縦に振る者はいなかった。

「雨って夏は虫暑くて気持ちが悪いし、秋は冷たくて風邪ひきそうで嫌なんだよね。」

「荷物も増える者ね。」

「そうそう、うち、腕の筋肉そんなにないから片手で傘をさすと不安で風に煽られたりしたらそれはもう最悪。」

「そういえばなんで雨には風がつきものなの?」

「雨雲を流すためじゃない?同じところにあたってたら水没しちゃうよ。」

「一昔前だったら水害は毎年あったんだって。」

「えー何それ怖い。自分の生活用品とかその他もろもろ流されるんでしょ?なんか動画サイトで見たことあるよ。」

「あれはショック大きいって。住まいは特に大事。」

「そう考えると今はいい時代になったんだね。人間の都合で変更変更できるからさ。」

もうここまで来たら個人が好きな天気を家の敷地内限定で再現するとか可能になりそうとも思ったけれど、よくよく考えれば、その周辺に危害が及びそうなので実用化には厳しいと感じた。」

「くじ引きじゃなくて計画的に天候の変更をしてくれればいいのに。」

「お正月とかの休日は固定で晴れになってるらしいよ。」

「何それ初耳。」

「国民全員に関係する大イベントだからね。そんな日に雨とか雪になっちゃったら大変でしょ。」

「嗚呼、運転する人はかなり大変って聞いたことがある。視界が悪くて判断鈍くなるとか。」

「ふうーん。まぁでも昔の事例みたいに大雨って現象がないからまだマシなんじゃない?運転したことないからわからないけれど。」

「なんかフロントガラスにシャワーかけてるかのような状況らしいよ。」

「それどこ情報?」

「某動画サイト。君も良く知っているあれだよ。」

「そうかあれか。帰ったら確認しとくよ。」

そして私たちの生活は続いていく。

天候の変更権限を持つ気象庁は人生に面白さを追求してほしいという過半数以上の国民のWebアンケート結果から導き出されたのが、くじで気象を変える、通称くじ天気予報。

それは確定した、つまり予定として指定日は雨などということは特例を除きそういうことはなく、あたかも自然現象のような風景をつくりだすことに徹しているらしい。

大多数の人がそれに賛成だし、私もそっちの方がいいかなって思っている。

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