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遠い記憶のタイムカプセル

タイムカプセル 掌編小説

小学生くらいだったか。

思い出として、一つの思い出作りとして、みんなでタイムカプセルを埋めることにした。

場所は自転車でそう遠くないところで、学校から20分程度のところだった。

土はふかふかしていて、スコップでそれも小学生の力で容易に掘れるほどの柔らかさだったと記憶している。

高校生になった今、ふとタイムカプセルのことを思い出した俺はチャットアプリであの時の4人に連絡を入れた。

「小学生の時に埋めたタイムカプセルのこと覚えてる?ちょうど今日は日曜日だし、掘り起こしに行こうと思うのだけれど。」

メッセージを送るとすぐに返信があり、4人とも一緒に行くことになった。

「待ち合わせはあの場所ね。」

あの場所、つまりタイムカプセルを埋めた場所だ。

自転車に乗って公園の裏の木々が生い茂っている場所に移動した。

あのころとはとってかわって、足へ伝う土の感覚は固かった。

ついてから、5分弱待つとにぎやかな声が近づいてきた。

「久しぶり。」

「久しぶりだね。」

「あー服おしゃれー。」

「みんな顔はあまり変わってないな。」

全員がそろったので早速土を掘り起こすことにした。

「スコップを持ってきたぞ。」

俺が小型のスコップを見せると、

「そんな小さいのじゃ日が暮れちゃうよ。」

「僕の大きなスコップを使おう。」

「そのほうがいいよ、うん。そうしよう。」

どうやって自転車に乗りながら持ってきたのかわからない大き目のスコップを自分の前に置く。

いやそもそも自転車で来るところは見ていないし、もしかすると車で来たのかもしれない。

日曜日だから、親も休みかもしれないし。

「じゃぁ掘るぞ。」

サクッ、ゴリゴリ・・・。

掘り始めから優斗の手は震えていて、土が高校生にとっても硬いことが伝わってくる。

「結構固いなぁ。まぁあれから6年経ってるもんな。」

うんうんと皆一斉に頷く。

30分程度かかって、金属音がしたので周りを掘って中のものを取り出した。

銀色の今じゃ珍しい金属のお菓子のケースだ。

クッキーが入っていたものと思われる。

「意外と小さいな。」

「まぁそれでもあの頃にしたら大きかったんだよ。」

「中身見てみようか。」

蓋を開けると、たくさんの手紙が入っていた。

中身は自分宛だった。

未来の自分に宛てて書かれた文面はそれは生意気で上から目線で呆れて俺は笑った。

「タイムカプセルやってよかったな。みんなとこうしてまた会えた。」

「ねぇまたやらない?」

「いいね、やろうやろう。」

こうして高校卒業後の新しいタイムカプセルが作られた。

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