美穂は病院の待合室に座っていた。彼女は少し緊張していて、足元を見つめながら不安そうにしている。
「あの、すみません。私、初めての診察で…ちょっと緊張しているんです」
美穂は横に座っている達也に声をかけた。
「大丈夫だよ、僕も初めてだから。一緒に頑張ろう」
達也は優しい笑顔で美穂に答えた。
彼は少し年上で、落ち着いた雰囲気がある。
「ありがとうございます。励ましてもらえるとうれしいです」
美穂はほっとした表情を見せながら、達也に感謝の気持ちを伝えた。
待合室には他にも患者がいたが、美穂は達也の隣に座っていることに安心感を覚えていた。
「あの、達也さんは何の診察ですか?」
美穂が達也に尋ねると、彼は微笑んで答えた。
「実は、心臓の検査なんだ。最近、息切れがすることが多くてね」
達也の声には少し不安が感じられたが、彼は強がっているように見えた。
「私は胃の調子が悪くて。食欲もなくて、何かを食べるとすぐに吐いちゃうんです」
美穂は小さな声で話す。
自分の体調の悪さを告白することに戸惑いを感じていた。
「それは大変だね。でも、きっと大丈夫だよ。一緒に頑張ろう」
達也は優しく微笑んで、美穂の手を取った。
彼の手は温かく、少し力強さを感じた。
しばらくの間、二人は黙って待合室で過ごした。
時折、護看師が患者を呼ぶ声が聞こえるが、美穂と達也はまだ呼ばれることはなかった。
「どうかな、順番はまだかな」
達也が時計を見ながらつぶやく。
「私もそう思うけど、まだ少し待たないといけないのかな」
美穂は不安げな表情で言った。
待ち時間が長く感じられる中、美穂は達也の手を握っていた。
彼の手は安心感を与えてくれた。 すると、看護師が待合室に戻ってきた。
「美穂さん、達也さん、お二人とももうお呼びです」
二人は立ち上がり、看護師についていった。
診察室に入ると、先生が待っていた。
「美穂さん、達也さん、ようこそ。どうぞお掛けください」
先生は優しく微笑みながら言った。
二人は緊張しながら診察を受けたが、先生の言葉に安心感を覚えた。
「美穂さん、胃の調子は少し悪いようですね。食事の量を調整して、定期的に受診してください」
「達也さん、心臓に異常は見られませんでしたが、念のために定期的に検査を受けましょう」
先生の言葉に、美穂と達也は頷いた。
診察が終わり、二人は待合室に戻ってきた。
「よかった、何も大きな問題はなかったね」
達也がほっとした表情で言った。
「そうだね、でも定期的に検査を受けないといけないんだ」
美穂も安心した表情を見せながら言った。
二人は再び手を握り合い、少し疲れたけれど前向きな気持ちで帰路についた。
待合室で出会った美穂と達也は、お互いの心の支えとなり、共に頑張っていくことを誓った。
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