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風邪ひいた保健室

保健室 掌編小説

冷え込む季節になり、少々田舎のこの街には積雪がちらほらと見受けられた。

その中でも例年風邪をひいたといわれる保健室があった。

なぜそういう呼称がついたのかというと、入室後冷蔵庫のように極寒であるためだ。

一応電気ストーブが保健室の先生の着席しているところに置かれているのだが、近寄らない限り、はぁーと息を吐くと白くなるほど寒いことが分かっている。

例年というと毎年寒いのかと思われるが、保健室の体調が良い時には温室であることが多い。

先生的には空調設備の不具合ということらしいが、それにしても寒い。

田舎ということもあって校舎の老朽化が原因で隙間風が舞い込んでいるとも考えられるのだが、建て替えや修繕の目途が立っていないというか、そんな話が上がっていないこの校舎には保健室だけが寒いという摩訶不思議な体験が残り根付いていたのは確かだ。

そんな極寒の校舎にも生徒たちが遊びに来ては、冬であろうと夏であろうとにぎわっていた。

特に意味もなく身長、体重を量りに来たり、体重が増えてることが発覚して発狂する輩とかもいたりして、なかなかの賑わいを見せていた。

そんなに人が来るのには聞き上手な保健室の先生の魅力によるものだろうと私は仮設を立てていた。

当時の私にとって寒い零下の空間は、子供だからこそ入りびたり続けることができる唯一の空間で、保健室の先生も話し相手がいるからこそ、その場にい続けることができるのではなかっただろうか。

ときより暖かいことがあるといっても天気に左右左右されず稀なケースだった。

つまりはあの部屋は風邪をひきっぱなしなのだ。

11月過ぎから風邪をひき始めて、雪解けの3月付近から調子を取り戻して風邪を治して暖かい空間を生み出していくといった具合だ。

でも、ほかの場所はというと廊下以外は暖房が入っていて、むしろその影響から廊下も暖かいイメージがあって、保健室ほどの寒さは感じていなかったから、日常生活に支障をきたしたこともなかった。

冷えると何かと体に悪いということを聞いたことがあるから、この時期は私はカイロを持参することが多かったが、それを使うのも保健室くらいで、それ以外の場所というとぬくもりに包まれていたので、外出中以外役目を果たさなかった気がする。

どこも老朽化しているのに、なんで体育館より狭い保健室のほうが寒いのか、本当に建物に情があって風邪をひいているのではないだろうか。

そう錯覚してもおかしくはないほど、そこだけ冷気が漏れるのだ。

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