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廃れた地の呪縛霊

廃墟 掌編小説

とある日の休日、とは言っても会社の定休日なので平日だが、その日偶然休みだった同僚と一緒にちょっとしたノリから廃墟を探索することになった。

探究心に満ち溢れている同僚の司は、数々のホラー作品を視聴し、レビューしていたことで社内でも有名だ。

今回は動画投稿サイトへアップするための動画の撮影も踏まえて、1人がかりでは心細いというから同行を志願され、車で一緒に向かうことにした。

木々が生い茂っており、午後になりかけの時間帯だというのに内部は薄暗く、不気味さを醸し出している。

廃墟に出向くことは今回が初めてだった俺は、事後のことも含めて不安だった。

入ったからと言って、呪われたり、取り憑かれたりしないよな。

「なぁ、司はこういう廃墟とか行くのは初めてだったりするのか?」

「いいえ。」

俺の質問に対して首を左右に振って否定した。

「大学時代に一度、巷で心霊スポットと噂されていたところへ出向いたことがあるんです。」

「そうか。で、いってみてどうだったんだ?」

司は表情一つ変えずに淡々と語り続けた。

「一般にあるホラーもののような展開を期待していたのですが、当日も後日以降も何も起きませんでした。正直残念で仕方がありません。」

苦笑いすると、お化けに嫌われているんじゃないのとか一言告げると、彼から柔和な笑みがこぼれ、そうかもしれませんと返答した。

例の心霊スポットにたどり着くと、森の中に一軒家、1階建ての廃屋と、なぜその位置にあるのか不明な大きな病院があった。

「こんな森の最奥に病院があるだなんて…。」

「田舎じゃ珍しくない光景ですよ。」

そう言うとズカズカと廃屋の方へ歩いていった。

俺もその後を追って進んでゆく。

屋内には家具の一切はなく、生活感の一切が感じられなかった。

廃屋だから当然と言えばそうかもしれないが、ホラー映画ではそんな地でも何かものが置かれているものなのだが、その気持ちとは裏腹に空有間には何もない。

次々に部屋を調査していくと、一枚の紙切れが落ちていた。

二つ折りにされていたそれを開き、内容を確認するとこの廃屋に立ち寄ったものへという宛で文が綴られていた。

どうやら著しい人口減少に伴い、この地を離れることを余儀なくされた家主たちは、ここに残ると聞かない一人娘のため、1人にはしておけないと自分たちも残ることを決意したとのこと。

しかしながら、この地は廃れている。

家主も亡くなったのだろう。

最後には霊となった娘によろしくと一言添えられていた。

後で知ったのだが、成仏されずに残った娘は、あの地に訪れる者を見つけては話しかけるそうだ。

私が合わなかったのは、同僚の霊を寄せ付けない体質によるものなのかもしれない。

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