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底辺魔法使いを拾ってみた

魔法使い 掌編小説

学校の通学路を歩いて、学校へと向かっていた。

真夏のくそ暑い中、俺は身体に汗をかきながら自転車のペダルをこいでいた。

午前中からこんなに暑いんじゃ午後は教室が蒸し風呂状態だぜ。

今日の気温という外敵に不満を抱きつつも校舎内に入っていく。

今はすべてが座学で、教室にクーラーもない状態に晒された俺の心は干からびていた。

嗚呼なんだかんだで家のほうが過ごしやすい。

快適なのは間違えない。

帰路についた俺は途中アイスでも買おうとコンビニに立ち寄った。

110円払ってアイスを一本。

チョコレートのラクトアイスを購入した。

コンビニを出てさっそく食べようと袋を開けようとした時だった。

目の前からもこもことしたものが現れて数秒待つと一人の少女が出てきた。

この時代に合わない、魔法使いというのがふさわしい服装をしていた。

「この辺に食べものの反応があると聞いてジャンプしたんだけれど・・・。」

困惑する中、俺の姿とアイスを目に捉えると、アイスをくれと懇願してきた。

「一口かじったやつでよければ・・。」

渡すと即効でアイスにかぶりついた。

それを目の当たりにして、女子の食事のイメージがダウンした。

女子ってこうもう少しゆっくり綺麗に食べるイメージがあったんだけれど・・・。

追い詰められるとここまで変貌するのか。

「なぁお前腹が減ってるならうちに来るか?」

こちらを見て目を輝かせるとこくりと二度頷いた。

家内にて。

朝食の残りを電子レンジで温めて、少女へ差し出すと、ガツガツと食べ始めた。

まるで女の皮をかぶった男のようだった。

「そういやお前さっき瞬間移動してきたけれど、あれも魔法の一種なのか?」

「お前じゃない、優菜。私の魔法は半分運だもの。優秀じゃない魔法使いだから。」

「質問の答えになってねぇよ。まぁいいか。とりえあえず優菜が魔法使いってことはわかったし。食料に困るくらいだから底辺の人間なのか?」

その発言が直球すぎたためか、彼女はむっとして発言した。

「底辺とは失礼な。50%の成功率だけどちゃんと魔法は使えるのよ?」

「50%も外すとかお願いした身からすると不安で仕方がないぞ。」

ぐうの音も出ないと言った様子で、しばらくの沈黙の後、昼ご飯ありがとうと一言言って家から出ていった。

後日、ごみステーションを漁る彼女を偶然にも見つけた。

「こ、こんなところで会うなんてほんと偶然の仕業ね。」

少々あきれながらため息をつく俺は彼女の容姿を脚から頭のてっぺんまで一望すると、彼女にかわいそうな小動物を見るような目を向けた。

「そ、そんな目で見ないでよ。私が普通の魔法使いじゃないみたいじゃない。」

ごみを漁る時点で普通の領域を大きく超えていると思うが。

「なぁ食料くらい魔法でどうにかならないのか?」

「魔法は一日4回までしか使えないの。」

現代魔法はそんな縛りがあったのか。

50%をすべて失敗させた末路が目前の風景というわけか。

「なんなら俺が優菜を拾ってやるよ。」

そう言い渡すと

「もっといい言い方があるでしょ、ばーか。」

と少々照れ気味に言って、そのあとは俺についてくるようになった。

俺は今日、魔法使いを拾った。

こうなったのも偶然の仕業。

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