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大人になりたい私と、大人になりたくない人の意見交換

女性 掌編小説

私は早く大人になりたいと思っていた。

子供だと様々な価値観を押し付けられて生きていかねばならないからだ。

両親の間でも考え方に齟齬があって、時にはどちらが正しいのか判別がつかないことだってある。

そんな不満から私は気分転換をしようと思い、黙って家を飛び出した。

断りがないからあとで怒号が飛んでくるだろうか。

まぁその時はそのときだと私はもやもやとした気持ちを振り払って外へと足を運んで行った。

僕は大人になりたくなかったとしぶしぶ思いながら日々生活を送っている。

会社へ所属しているから団体の責任はここで負わなければならない。

休みだって不規則だし、旧友と遊びに出かけたのもかなり前の話だ。

いつの間にか僕には顔に深い皺が刻まれ、容姿も心も老いていた。

今日はそんな日々の中での唯一の休日だ。

とはいっても世間一般からすると平日だ。

私は気晴らしに散歩でもしようと外へと足を運んだ。

「世界は平和に見えるのに、なぜこれほどにも満たされないのか。」

同時に同じ言葉が発せられる。

歩道のガードレールによしかかっている私の横には同じくよしかかっているおじさんがいた。

「おじさんもそう思っているんだ。
なんだろうね、私たちって同類なのかな。」

その言葉に苦笑すると、おじさんは君がそう思うのならそうなんだろうねと言った。

「僕は気分転換にここを散歩していたんだ。」
「奇遇だね。
私もそうだよ。」

私が悩みを打ち明けると、おじさんも同様に自分のことを話してくれた。

「おじさんはおじさんなりに大人になったことを後悔しているんだね。
でも私は大人の方がいいな。
子供だと自己決定したとき、想いの反映の割合が小さいもの。
大人がフィルターをかけてしまうからね。
結局大人の考え方に則った答えしか出せなくて困窮してしまうんだよ。」

「僕的には子供の世界も大人の世界も同じルールで縛られていると思うんだ。」
「同じ?」

「そう同じ。」

「そうは見えないな。」
私は率直におじさんの意見を否定していた。

「だって似たところはあっても、やっぱり自己主張が強いくくりなんて子供と大人とでは全然違うもの。」

「それを聞いていると僕は気づいてしまったよ。」

「何に?」

私はおじさんが何を思ったのか純粋にわからなかったので、質問した。

するとおじさんはすぐに答えてくれた。

「対等な立場になれた時に初めて意見が通じる。
年齢に関係なくね。」
私は目を丸くした。

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