ロゴユメ

恋の呪い

岬 掌編小説

夢を見た。

人の怒号が聞こえた。

何に起こっているのかわからない私は困惑した。

でも夢の中の私はそれを理解しているようで、起こる夫に強く反抗していた。

やはり怒られると怖い、起こったあなたは鬼のように真っ赤で般若のように恐ろしい顔をしていた。

やめて、こんなものを見せないで。

温厚な夫がこんな風に興奮して起こることなんてない、早く目が覚めて。

内心で懇願する。

すると私の願いが息とぢいたのか、夢の世界は崩壊し消失していった。

目が覚めた。

あんな心臓に悪い夢を見るのはこりごりだ。

私が悪夢を見るに至った経緯は何だろうか。

夫との関係に亀裂が入っているわけでもなく、私が夫を嫌いになったわけでもない。

だが現実には警告夢という言葉が存在しているから落ち着きを取り戻せない。

その名の通り今後起こりうる現象を夢で見せられるというものだ。

予知夢と少し似ているが、主に自分への危機を宣告するすることが特徴だ。

そんな夢を見たところで私に何のメリットがあるのかわからなかった。

だから夫に相談した。

しかし、私たちが別れる理由が見当たらず、夢の謎が解き明かされることはなかった。

ただ一つ言えることは夫は私以外の人間と付き合ったことがないということだ。

彼がリア充ライフを送ることができたのも、私のおかげ。

彼は私のものなんだから。

モテない夫が私を手放す理由なんてどこにもないはず。

炊事に洗濯、家事全般はほとんどといっていいほど彼はうまくできない。

彼には私が付いていてあげないといけないのだ。

「本当にうちの夫は仕方がない人なんだよね。」

「何か言ったか?」

「何も・・・。」

ダブルベッドでお互いに寝ている。

横を見ればあるのは夫の顔だ。

スースーと小さく寝息を立てる姿を見ていると、どこか落ち着く。

私は一人っ子だったから寝るときはいつも一人で怖くて毎日布団で耳を塞ぐようにして寝ていた。

でも今となっては横に夫がいる。

大の字で寝たって落ち着く。

そんな空間を私は手にしているのだ。

一人じゃないってのは自信につながる。

そう確信していた。

またあの夢をみた。

ここ一週間毎日だ。

呪文のように同じタイミングで同じセリフが発せられる。

これは一種の呪いなのだろうか。

夫に相談すると、何かに取りつかれている可能性があるからお祓いをしてきなさいと言われた。

言われた通りに私はお祓いをしてもらった。

すると今までより肩にかかる力も減少したかのように感じた。

その日から夢を見ることもなくなった。

お祓いをしてくれた神主さんによると、夫を横取りしようと私に離婚するように迫っていた霊がいたのだという。

夫はルックスこそ私の好みでたぶん一般的には普通くらいでイケメンではない。

強いていうなら、年収で目をつけられたのだろうか。

確かに夫の年収は1000万を超えている。

でも貯金が趣味な夫は、支出こそ普通の家庭と何ら変わらないし、住まいもボロアパートの一室だ。

まれにもう少しケチらないでいいところに住みたいと思うこともあるが、ボロといえどそれなりに、必要最低限の生活はできるので、話のネタにすること以外はなかった。

今回のことを踏まえて、夫の気が変わらないように私は女を磨こうと思った。

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