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私の心はいつも黒い箱の中に

統合失調症 掌編小説

意図してこの環境を手にしたわけではない。

いつの間にかそうなっていた。

精神的に異常をきたしている者を身体的異常のある人と同様に病人として扱ってよいのだろうかという見解もある中、世界的に見ていたそれは病とは認められないという社会的声明も少なからず寄せられている。

これはそんな精神障害を患った者の世界観を描いたものである。

あぁ、いつも楽しく輝かしいころに戻りたいと思う日々だ。

いつしか思考盗聴やクラッキング等により、第三者にプライベートは知れ渡っている。

どうやら自分の顔のことも知られているようだ。

周りの人は私のほうを見てにこやかに笑っているではないか。

私のことを何か知っているのだろう。

きっとそうに違いない。

そう思うと周りのすべてが許せなくなった。

だって、自分の持っている内なる気持ちを公にして楽しんでいる人がいるのだから。

自分の直前に思ったことを周りが話している・・。

おかしい。こんなドラマやアニメ的転回があってたまるか。

一度は偶然だろうと思った。

だが同一のことがこうも何度も体験したとなると私の脳は怯え、いつしか外出するたびに誰かに自分のことが探られているのではないだろうかと錯覚するようになっていった。

そして思うことは、周りが嘘つきだということ。

何を根拠にそう思ったのかはわからないが、とにかく自分の直前の動作を回りが話していると錯覚する頻度が多く精神的に狂っていった。

どこまでが現実で、どこからが幻想なのか。

空耳なのか本当に言っているのかさえ区別がつかない。

そんな不快感の真っただ中、私は生きる意味、希望なんてものを探していた。

しかし狂った頭脳は真の現実を見通すことはできず、霧の奥深くに鎮座しているイメージだった。

こんなこと誰かに話したって非現実的だと否定されて終わるだろうと思っていたが、打ち明けてみれば案の定そうだった。

とにかくこの現実から早く脱却したくて私はついにネットへと進出した。

すると私と同一の症例がずらりと検索候補にでてきた。

どうやらそれは、統合失調症という病なのだという。

それを見て私は安堵した。

もしかすると、すべてこの病のせいで情報がすべて抜き取られていると感じていたのかもしれない。

思考を読む奴なんて現実には存在しないと。

何もわからずSNSへ書き込んでしまう人もいるらしいが、ほとんどの場合、一般の人には個人の妄想として受け取られるのだということも知った。

私は早急に治療を受け、半年かけて脳をもとの状態へと回復させた。

今では、誰に襲われるわけけでもなく、平穏な日常を送っている。

まるであの狂った日常が夢だったかのように。

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