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恋愛が生まれるキャンペーン

恋人 掌編小説

僕の初恋はいつだったか。

いつしかふとした時に抱く桃色の感情。

その感情に振り回されて人生を棒にふるうなんて事例を目にしていたものだから、僕は恋愛に対しては消極的なイメージを抱いていたもおだ。

だからこそこの国の制度には少し嫌気が際している。

男女ともに現在は結婚年齢は18歳。

結婚強制制度という少子化対策の一環として導入されたものだ。

結婚後の死別を除き、みな必ず結婚という道をたどらなければならない。

こんな制度なぜ廃案にならなかったのか。

少なからず無意識のうちに出会いを求め、自分の心を慰めてほしい、そんな寄生じみた心の持ち主が多数存在するからなのではないだろうか。

初恋は小学6年生のころにあったが、告白することもなくただ時間だけが過ぎていた。

あの時告白していれば僕の運命はどう傾いただろうか。

案外両想いに発展し、現在18歳の僕と愛をはぐくんでいた可能性だった十分にある。

だってあの子は今でも僕のクラスメイトなのだから。

以外にも近しいからこそ、昔の記憶を連想させてしまい、少々苦しい。

苦い思い出だ。

あの時告白していれば周りから茶化されて、あの子にも被害が及んでいただろうか。

今より若いころは結婚強制制度なんて存在しなかったから、付き合うことイコール体たらくで馬鹿な事ともとれるし、はたから見ればうらやましいから茶化していたともとれる。

破局を招く理由というのは正直僕にはわからなかった、到底理解できない。

だからリア充を見ると僕は純粋にうらやましいと思うのだった。

そんな時に目に入ったのが校内で配られた一枚の配布物だった。

そのタイトルにはこう書かれていた。

恋愛が生まれるキャンペーン実施。

自己申告制というより半ば強制で、著名式になっている。

教師に促されるままに僕はシャーペンでスラスラと名前を書いた。

その下部にはアンケートがいくつか書かれており、心理テストともとれる項目がずらりと並んでいた。

1限目をフルに使ってアンケートを終えて提出した。

月日がたち、アンケートの結果が渡された。

渡された用紙に書かれていたことを目にして僕は目を疑った。

あなたのマッチング相手は小早川朝菜です。

手がプルプルと震えた。

僕は動揺しつつも彼女のほうを見渡す。

そう、初恋の子の名前なのだ。

お互いに目が合い赤面してしまう。

こんなこともあるのかと。

こういう結果に至るなら天涯孤独でいるよりも、こういったサービスを使うほうが僕は幸せになるかもしれない。

そして僕は紙を軽く胸に当て、あの子と合わせてくれて、チャンスをくれてありがとう。

そう心の中で思ったのである。

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