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箱庭の歌

箱庭 掌編小説

箱庭の歌という本を拾った。

ページをめくると画面からキャラクターや風景が盛り上がる。

いわゆる飛び出す絵本なのだ。

ページを開閉すると本の中身が上下する。

その本はまるで私に読んでもらいたいのが如く、私の住居の入り口の前に置かれていた。

誰かの悪戯なのかわからないが、私はその本を手に取って家内に持ち寄った。

絵本なんて読むのは何年ぶりだろうか。

物心ついた頃には絵本は本棚の隅っこに位置しており、読んだ記憶さえ薄れていた。

ページを開くと飛び出すように設計されたそれは、自分の幼い頃にはなかった新感覚の本だった。

ストーリーはこうだ。

巨大な箱庭の中に一人放たれ元いた箱庭の住人と生活を共にしていく。

しかしある日、物心がつく前に自分が放たれた場所は外部の人により管理されている箱庭であることがわかった。

自分がまるで飼育されている昆虫のような立ち位置にあることを知ってしまった。

それはたまに上空に見える巨大で不気味な顔が現れることがあってのことだ。

周りの住人には見えていないのか平然と生活を送っていたから、自分がおかしいのか、外に本当に巨人がいるのか気になり、箱庭の外を目指すことになった。

その後運良く外へ出ることに成功するが、巨人に見つかって箱庭に戻されてしまう。

でもその時確信した。

外の世界はあって、私はもともとそちらの住人なんだと。

外に出るにはどうすれば良いか考えた。

そして私は一つの答えにたどり着いた。

嫌われればいいのだ。

いくら巨人といえど不快に思う者との共存はしたくないはずだ。

私は箱庭の中にあったマイクを屋外に持ち出し、箱庭の中で大声で歌い出した。

無論私は歌が下手だ、音痴だ。

すると数分後にドタドタと箱庭の様子を急いで伺いに巨人が来た。

私の予想通り恩師を不快に思い、私を箱の外に摘み出した。

私は自由になった。

もう好きに生きていけるのだと思った。

話の内容はここまでだ。

自分の生活の中で学び続け、学習の結果社会の異変に気がつけた。

異変に気づけないものは箱庭の中で何不都合せず生活を送るだけだが、気付いてしまったものは現状を変えずにはいられないのだ。

知ってしまった者は新天地を目指し、そこでも気づきあって伸びていくのだなとこの絵本により感想を持った。

自分には未だ、何か気づけていないことはないか。

いや、あるからこそこの本を誰かが私の元に届けてくれたのだと思う。

気づきのきっかけを与えてくれた人が誰であれ、私は感謝したい。

私はこの本を家宝として本棚の目立つところに置くことにした。

もしかしたら自分にも子供が宿るかもしれない。

もしそのときになったら、この本を我が子に見せて気づきを与えてあげたいと心から思っている。

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