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私は取り換えた

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香織かおりは、大切な日がやってきた。彼女の誕生日だ。

しかし、この日には特別な思い出がある。

それは、亘と交際していた頃に彼からもらったヘアゴムだ。

わたるは誕生日にはいつも何か特別なプレゼントを用意してくれたが、その中でもこのヘアゴムは香織にとって一番思い入れのあるものだった。

ヘアゴムはピンク色で、中には小さなパールが散りばめられている。

亘は

「毎月バイト代貯めて買ったんだ。これを使って髪をまとめると、もっと可愛くなると思って」

と笑顔で言ってくれた。

香織は彼の言葉を信じて、それ以来、このヘアゴムを大切に使ってきた。

しかし、亘は突然病に倒れてしまい、そのまま別れを余儀なくされた。

別れから数か月が経ち、香織は新たな恋を始めた。

彼は亘とは全く違うタイプの男性で、穏やかで優しい性格の持ち主だった。

彼との関係は順調で、幸せな日々を送っていた。

ところが、今日の朝、香織は髪をまとめようとヘアゴムを探したが見つからない。

心当たりの場所を探しても見つからない。

焦りが広がり、香織は思わず泣き出してしまった。

「どうしたの?大丈夫?」

彼が心配そうに声をかけてくれた。

「私の大切なヘアゴムがなくなっちゃったんだ…」

香織は泣きながら訴えた。

彼はそっと香織の手を握り、優しく微笑んだ。

「大丈夫、俺が新しいヘアゴムくらい用意してあげるよ。それより、君が泣いている姿は本当に可愛いんだ」

彼の言葉に、香織は胸がときめいた。彼は亘とは違うけれど、彼ならきっと同じくらい大切にしてくれるだろう。

そう思うと、少し心が軽くなった。

彼は香織の手を引き、一緒に街へ出かけた。

そして、可愛らしいヘアゴムを見つけた。

それは、ピンクのリボンが付いた猫の形をしたものだった。

彼はそれを香織に差し出し、優しく微笑んだ。

「これで新たな思い出を作ろう。君が笑顔でいてくれるなら、何でもできるから」

香織は彼の言葉に胸を打たれた。亘のヘアゴムは大切な思い出だったが、彼女は新たな思い出を作ることができるのだと気づいた。

彼女は頬を赤らめ、彼に感謝の気持ちを込めてキスをした。

そして、新しいヘアゴムで髪をまとめると、彼と手を繋いで街を歩いた。

亘のヘアゴムはもう見つからないかもしれないけれど、香織は彼との思い出を心に刻んでいる。

そして、新しい恋との思い出を作ることで、彼女は幸せな日々を過ごしていくのだった。

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