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書いたことが実現するノートを手にした末路

日記 掌編小説

もしあの時こうしていたら何か変わったかもしれない。

人が後悔という感情を持つのはどの世代でも同じだ。

そんなことを私こと神は、実験台として一人の人間に記載事項を必ず実現させることのできるノートを渡した。

初めは半信半疑で使用していたが、書いたことが本当になることが分かってから彼女の行動は一変した。

確実に自分の想いを貫くようになり、失敗を恐れない積極性あふれる人物へと変貌を遂げたのだ。

ノートを渡すと前には観測されなかった情景である。

この結果から、物事ぼ結果が約束されていれば、人間は強くなれることが分かった。

今の彼女には一瞬の迷いもない。

また、この実験から人の欲が自身を突き動かしていることも分かった。

人は実に強欲で、ある一定ライン以上の幸福を得ることになれると、そのボーダーラインが上昇するようだ。

これは彼女に限ったことではなく、ほかの人間も同じだ。

実に面白く、人それぞれという言葉なんて不適合なのではないか、一様化しているといってもいいと思ったほどだ。

それだけ現代の人間は心の動きに共通するパターンがあった。

どこで人の選択が分岐するのか・・・。

それは人を取り巻く環境だった。

外的要因こそが本来個人のもつ選択を揺らがせ、一人の時では選ばぬ選択に手を付けていくのだ。

実に不思議である。

一通りノートを使い倒し、飽きるのかと思えば、自分の心理に余裕ができてくるため、今度は人のために何かしてみようという気になるようだ。

いつしか哲学者が他人を幸せにしたかったらまず自分が幸せになれという言葉を残しているが、今彼女の姿を見ていると、それが正しく思えてくる。

私は人間界の時間を早送りしたり、巻き戻したりできるから、好きなタイミングで見たいシーンを抽出できる。

そんな作業をこなしている中で、目に留まったのは人のためにと動いた人の割合が八割を超えたということである。

この世は物騒だと国内では囁かれているが、外国に比べれば安全という評価の中で、富が等しく或いは、ある基準以上であれば人は事件を起こすことはほとんどないのだと知った。

みんな仲良くがまさか実現できる日がこようとは思ってなかったが、驚きの結果だ。

この結果を受けて、このノートを正しく使ってもらえるように、神以上のこと、例えば人を生き返らせるとかはできないように制限をかけて分配すれば、世界はより良い方向へと向かってくれると確信した。

格差があることが根本的に問題ではない。

伸びる人間は上まで行くし、安定していいればよいという人だっている。

世界平和を実現できるノートはあるが、強欲さに心配なところがある。

だが反面、人の心を操作したり、物品を盗用したりせず、人を幸せにすることは最高の快楽ととれるようになってほしいと思っている。

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