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縁結びのスプレー

縁結び 掌編小説

結果独りぼっちのまま卒業しちゃったなぁ。

大学も卒業し就活も失敗してこのさきどうすることやらと思っていた。

周りのみんなは既に内定をもらっていて在学中は自分だけ取り残された錯覚を覚えていた。

大学を出た今、所属先のない私には時間がゆっくりと流れていた。

夜間、アルバイトの帰りに気晴らしと、いつものコースにある神社に足を踏み入れた。

本当に神がいるのならこんなつまらない世界観を塗り替えてくれたらと思う。

あれ・・・あそこだけ明かりが灯っている。

外灯1つついていない中、その屋台一つだけに明かりがあるのを不思議に感じた。

「いらっしゃい」

「ここは何屋さんですか?」

店主の前に置かれた台にはいくつかのスプレー菅のようなものが置かれていた。

こちらに目を向けながら店主は質疑に返答した。

「縁結びの効力を強くするスプレーを売っているんですよ。
何屋さんといわれると少々困りますが・・。
まぁスプレー屋とでも名乗っておきましょうか。」

縁結び。それは誠か。

お守りを手にしていた時期もあったがいまいち効力を発揮していないように思えた。

スプレーも単に言葉巧みに付加価値をつけているだけなんじゃないか。

ただのスプレーなんじゃないかと思った。

でももし本当なら・・・。

そう考えが半々で揺らいでいた。

「人の運というのは面白いものでね。
引き寄せる者を変動させることでよくも悪くもなるんですよ。
つまりこのスプレーは負のオーラを防止する役割を担うわけです。
どうでしょう手にとってはみませんか?」

結局のところ私はそのスプレーを購入した。

そして当日からそのスプレーを用いてみたらどうだろう。

私は未だかつてないほどに人に会うようになっていた。

会う人それぞれがすべて自分と接点を持つかどうかは別として、自分が望んでいた正の感情を強く引き付けているのだと感じた。

こんなことが現実に起こりえるんだ。

私は週に1回程度、スプレーを使い、なくなってはまたあの屋台に買いに行っていた。

このサイクルを続けることで自分の行動はどんどん変化していった。

いつしか私はチャンスがたくさん与えられるようになっていたのだ。

そして、いつものようにスプレーを切らしたから買いに行った。

すると驚くべき真実を伝えられた。

「お客さん本当のことを言いますと、このスプレーは自分の感じる香をよくしてストレスを軽減するもので縁結びに直結するかは別の話なんです。
ですから今のあなたのように様々な人とのつながりを持てているのは、あなた自身の力なんです。
自分を騙すということは時頼ストレスになることもありますが、このスプレーで軽減していますから。
気が付かなかったでしょう?」

私はそれを聞いてさらに自分に自信を持てるようになった。

でも購入をやめるとは言っていない。

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