葵は息子の英雄と一緒に遊園地にやってきた。
英雄は興奮気味に手を引いてくれる葵の手を引っ張りながら、キャラクターショーを見たり、乗り物に乗ったりと楽しんでいた。
葵も英雄の笑顔を見て、心から幸せを感じていた。
遊園地の中には、様々なお店が軒を連ねていた。
特に目を引くのは、カラフルな飴を売っているお店だった。
飴の中には、星や花の形をしたものもあり、まるで宝石のように光り輝いている。
英雄はその飴を見つけると、目を輝かせて葵におねだりした。
「おかあさん、あの飴買って!おいしそうだよ!」
葵は微笑みながら、英雄の手を握りしめたままお店に入った。
店内は飴の甘い香りに包まれ、カラフルな飴が並べられていた。
葵は英雄の目を見つめながら、店主に飴を注文した。
「あの、すみません。あの、星の形をした飴を一つください」
店主はにっこりと微笑みながら、飴を包んだ紙袋を渡してくれた。
葵は英雄に飴を渡すと、彼の手のひらに乗せた。
英雄は興奮しながら、飴をじっと見つめていた。
「おいしそうだね、英雄。食べてみようか」
英雄は小さな舌で飴をなめると、驚きの表情を浮かべた。
その美味しさに、英雄は大喜びで飴をかじり始めた。
葵は彼の姿を見ながら、ほっとした気持ちになった。
「おいしい!おいしい!ありがとう、おかあさん!」
英雄の喜ぶ様子を見て、葵は心から満足感を感じた。
彼女は英雄の頭を撫でながら、幸せなひとときを過ごしていた。
しかし、その時、葵の目の前に突然現れたのは、不思議な風貌をした男性だった。
彼は細身で長い黒髪を持ち、黒いローブを身にまとっている。
その手には、カラフルな飴の束を持っていた。
「おいしい飴をお探しですか?私にお任せください」
男性の声は優しく、葵の心を引き寄せた。
彼女は興味津々で男性に近づき、飴の束を見つめた。
「これは、なんですか?」
男性は微笑みながら、飴を一つ取り出し、葵に手渡した。
「これは特別な飴です。一度食べると、本当の願いが叶んうですよ」
葵は驚きながらも、飴を受け取ると、瞬間的に彼の言葉に心を奪われた。
彼女は心の中でひとつの願いを思い浮かべ、飴を口に入れた。
飴をなめると、甘い味わいが広がり、葵は目を閉じる。
すると、周りの景色が一瞬にして変わった。
葵は目を開けると、自分がいたのは広大な畑の中だった。
そこには色とりどりの花が咲き誇り、風が心地よく吹いている。
「これは…」
葵は驚きながらも、心が安らぐ感覚に包まれた。彼女は気付くと、手には星の形をした飴が握られていた。
「ありがとう、飴の男さん。私の願いが叶ったみたい」
葵は微笑みながら、星の形をした飴をなめると、心からの感謝と幸せを感じた。
そして、彼女は再び英雄の元に戻るために、飴の男性に別れを告げた。
「さようなら、飴の男さん。ありがとう」
葵は英雄のいる場所を思い浮かべ、再び目を閉じた。
そして、再び目を開けると、彼女は遊園地の中にいた。
英雄は葵の手を引きながら、笑顔で彼女を見つめた。
「おかあさん、どうしたの?」
葵は微笑みながら、英雄の頬にキスをした。
「何でもないよ、英雄。ただ、おかあさんはとっても幸せだから」
そして、葵は英雄と一緒に遊園地を楽しみながら、飴の男性との出会いを心にしまった。
彼女はあの特別な飴によって叶えられた願いに感謝しながら、幸せな日々を過ごしていったのである。
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