ロゴユメ

緊張する家

家 掌編小説

春季に新しい家を買った。

新しいとは言っても築20年の家で少々古いという情報はあるものの内部は木造の美しくあたたかな環境に包まれていた。

ヒノキのよき匂いがする。

「とても最高ね!こんなところに住めるなんて夢のようだわ。」

妻は体操この家が気に入ったようだった。

「私は賛成よ。」

妻は私のほうを見ていった。

目がキラキラとしていた。

よほどうれしかったのだろう。

「では私も賛成したということで。」

その後手続きを済ませ、私たちはこの家に住まうことになった。

「夢のマイホーム家具やら何やらそろえてセッティングしたらきっと見栄えもよくなるわ。これだけ広大なんだからいろいろなものがおけるわ。」

妻の発言にうんうんとうなずいて話を聞きつつ、引っ越しで移動した段ボールの中から荷物を引き出してゆく。

丸一日かかって荷物の片づけやセッティングは終わり、まだ殺風景だが一応部屋の模様替えは済んだ。

「お疲れ様のハグをして。」

妻はあまえてくるのでいつ通りに妻の肩に腕を絡めて抱いた。

ズズ・・・。

途端に家内が大きく揺れ、慌てふためく。

「なんだ、地震か?」

突然の揺れに手を振りほどいて、あたりを確認する。

「とにかくSNSとテレビだ。確認確認。」

だいあい自然災害が起きた時は速報がそこに入るから急ぎでチェックをするも地震の情報は出てこなかった。

「おかしいな確かに揺れたはずなのに。」

またある日。

それが起こったのは早朝だった。

「あなた、行ってきますのハグ。」

本当に普通の家庭ならばこれほどべたべたはしていないだろうけれど妻は特殊というか人懐っこかった。

してあげないのもかわいそうなので、私はいつも通り妻を抱いた。

するとどうだろう。

前と同じように家が揺れたのだ。

家の外に出ると地は揺れておらず、家単体で揺れを起こしていることが見て取れた。

もしかしてこの家訳あり物件だったのでは・・・。

そう思った私は妻に要件を話して霊媒師を家へ呼んだが、特にこの家にとりついている者はいないとのことだった。

だったらあの揺れはいったい何なのか。

確かめようと私は自分から妻に抱きついてみたり頭をなでたりした。

「なぁに?今日は一段と積極的だね。そういうの好き。」

妻は私の行動に対して意味を見出していないようだったが、私は事後すぐにあたりを確認した。

ズズ・・・。

やはり、軽いが揺れている。

もしかしてあの家が生きているのか?

妻に事情を話すとにぎやかで面白いし、悪霊じゃないならここに住んでもいいといった。

妻がそういうなら、私はもう気にしないことにした。

私たち夫婦が愛情表現をするたびに家は揺れる。

どこかやらその行為がみられているかの錯覚に陥るの少々気恥ずかしかったが、現在ではもう慣れている。

今日もまた、行ってきますからおかえりまで揺れている。

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