「拓郎くん、私、台本逆さまに持ってきちゃったみたいで、セリフが全然読めないんだよね」
と沙良が困ったように言った。
「えっ、本当に逆さまに持ってきちゃったの?大丈夫、俺が助けてやるから」
と拓郎が慌てて答えた。
二人は演劇部のオーディションに参加するため、一生懸命準備をしてきた。
しかし、沙良が持ってきた台本は見事に逆さまになっていたのだ。
拓郎は即席で漫才風に台詞を言いながら、沙良のセリフを補完していく。
「さあ、沙良ちゃん、今日はいい天気だね。でもね、この台本、なんか変だね。まるで宇宙人の言葉みたいだよ。こうだよ、こう!」
と拓郎がウケ狙いでポーズを取りながら言った。
観客は最初は驚いていたが、次第に拓郎の漫才風のセリフに笑いが広がっていく。
沙良も拓郎に助けられながら、笑顔でセリフを返すことができた。
次は二人が小道具係を任されることになった。
しかし、沙良はドジな性格ゆえに小道具を次々と壊してしまう。
「ごめんなさい、拓郎くん。つい壊しちゃって」
と沙良が泣きそうな声で謝った。
「大丈夫だよ、沙良ちゃん。ここは逆に失敗を利用してみよう」
と拓郎が微笑みながら言った。 拓郎は舞台上で小道具を使ったドミノ倒しを演出し始める。
最初は沙良のドジで壊れた小道具が次々と倒れていくが、それが意図せずドミノ倒しのようになっていった。
観客は驚きながらも、舞台上で展開されるドミノ倒しに興奮し、拍手と笑いが起こった。
そして、いよいよ大事な公演の日がやってきた。
しかしなんと、沙良は主役の衣装を間違えて洗濯してしまったのだ。
「拓郎くん、私、主役の衣装を洗濯しちゃったみたいで、もう着れないんだよ」
と沙良が悲しそうに告げた。
「大丈夫、沙良ちゃん。それなら新しいファッションを作ろう」
と拓郎が笑顔で答えた。
拓郎は急いで沙良に合う新しい衣装を手配し、彼女を舞台に送り出す。
観客は最初は驚いたが、沙良が新しい衣装を身にまとい、自信に満ちた笑顔で舞台に立った瞬間、拍手と称賛の声が起こった。
公演は大成功に終わり、沙良と拓郎はお互いの長所を生かし合いながら、更なる友情と信頼を深めていった。
「沙良ちゃん、君のポジティブな側面は本当に素晴らしいよ。これからも一緒に色々なチャレンジをしていこう」
と拓郎が笑顔で言った。
沙良は嬉しそうに頷き、二人は次のチャレンジに向けて前向きに進んでいくのだった。
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