ある学校の紅白体育祭が開催される日、里乃はドキドキしながら学校に向かっていた。
彼女は普段は地味な存在だったが、この日だけは紅組のリーダーとして活躍することになっていたからだ。
体育館に入ると、会場は人で賑わっていた。
紅組と白組の応援団がそれぞれの担当ブースで熱心に応援グッズを作っている姿が目に入った。
里乃はクラスメートの竜也と一緒に紅組のブースに向かい、準備を始めた。
「里乃、頑張ってくれるよね?」
竜也が里乃に笑顔で声をかける。
里乃は緊張しながらも、竜也の言葉に勇気づけられた。
「うん、頑張るよ!」
紅組のメンバーたちも一生懸命に取り組んでいる。
里乃は心の中で彼らに感謝の気持ちを込めながら、応援グッズの製作に取り掛かった。
時間が経つにつれて、会場の興奮が高まっていく。
各クラスが持ち寄った応援グッズやコスチュームが会場を彩り、熱気が充満していった。
そしてついに、体育祭が始まった。
リレー、玉入れ、障害物競走など、様々な競技が行われ、紅組と白組は激しく競い合った。
里乃はリーダーとして、紅組の応援団を引っ張っていた。
彼女は声を張り上げ、手を叩きながら応援を続ける。竜也も彼女の横で力強く応援していた。
会場の興奮は最高潮に達し、応援団同士の応援合戦も熾烈を極めた。
しかし、その中で里乃には少しだけ心配事があった。
彼女は竜也に対して特別な感情を抱いていたのだ。
ずっと友達以上の関係になりたいと思っていたが、言葉にする勇気がなかった。
競技が進む中、里乃は一瞬竜也の姿を見失ってしまった。
焦りながら周りを探すと、彼が白組の応援団の中にいることに気づいた。
里乃は胸が痛くなりながらも、竜也が白組を応援している姿を見つめた。
彼は笑顔で応援グッズを振りかざし、力強く声を出している。
「竜也、なんで…」
里乃は心の中で叫びながら、彼の背中を見つめていた。
そして、競技が終わり、結果発表の時がやってきた。
緊張した雰囲気の中、紅組の勝利が発表された瞬間、会場は大歓声に包まれた。
里乃は喜びの中でも、竜也の姿を探していた。
彼はどこにいるのだろうと不安になっていた。
すると、会場のステージに竜也が登場した。
彼は微笑みながらマイクを握り、紅組の勝利を喜ぶ言葉を発した。
「みんな、おめでとう!紅組の勝利だよ!」
里乃は竜也の姿を見つけて安心した。
彼は自分たちのチームの勝利を喜びつつ、白組の応援団とも仲良く交流している様子だった。
そして、竜也は里乃に向かって微笑みながら手を振った。
里乃はその笑顔に胸がいっぱいになり、竜也に対する想いが再び湧き上がってきた。
「竜也、ありがとう。私もずっと友達だけじゃなくて、特別な存在になりたいんだ」
彼女は心の中でそうつぶやきながら、竜也に手を振り返した。
体育祭が終わり、学校に帰る途中、里乃は竜也に告白する決意を固めた。
次の日、二人は心を通わせることができるのだろうか。
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