千賀子は初めてのイヤリングを手に入れた。
彼女は幼馴染の正人と一緒に買い物をしていたのだ。
イヤリングをつけることで、少し大人っぽく見えるのではないかと思った千賀子は、心躍らせながら店を出た。
イヤリングは小さな薔薇のモチーフがついていて、シルバーのチェーンが揺れている。
千賀子はそれを見ているだけで、なんだか心が満たされるような気がした。
彼女はイヤリングをつけてみたくてたまらなかった。
帰り道、千賀子は正人に
「このイヤリング、どうかな?」
と尋ねた。
正人は微笑みながら、千賀子の髪をかき上げて言った。
「似合うよ、千賀子。新しいイヤリングが素敵に映えるよ。」
千賀子の心は高鳴った。
初めてのイヤリングをつけることで、自分自身が変わるような気がしたのだ。
幼い頃からずっと一緒にいる正人がそう言ってくれたことで、彼女は自信を持ってイヤリングをつけることにした。
翌日、千賀子は学校で友達たちにイヤリングを見せびらかした。
彼女のクラスメイトたちは驚き、羨ましそうな表情を浮かべた。
千賀子は誇らしげに微笑みながら、イヤリングを揺らした。
しかし、数日後、イヤリングがなくなってしまった。
千賀子は自分がどこかでイヤリングを落としたのかと思い、辺りを探し回ったが見つからない。
失望感が千賀子の心を包み込んだ。 正人は千賀子の悲しみに気づき、彼女の手を取って言った。
「千賀子、心配しないで。もしイヤリングが見つからなくても、あなたは輝いているんだから。イヤリングがなくても、千賀子はいつでも素敵なんだよ。」
千賀子は正人の言葉に励まされ、少しだけ涙をこぼした。
「ありがとう、正人。あなたがいてくれて本当に幸せだよ。」
それから、千賀子はイヤリングを失ったことを悔やむのではなく、自分自身の輝きに目を向けるようになった。彼女は正人と一緒に過ごす日々を大切にし、笑顔で前を向いた。
そして、ある日、千賀子は学校の廊下で輝くようなイヤリングを見つけた。
それは彼女の失ったイヤリングと瓜二つだった。
千賀子は思わず手に取り、イヤリングを耳につけた。
イヤリングの輝きが彼女の心を満たし、再び自信を取り戻した千賀子は、笑顔で正人に報告した。
「正人、見つけたよ!イヤリングが戻ってきたんだ!」
正人は微笑みながら、千賀子の手を握った。
「それは素晴らしいね、千賀子。イヤリングが戻ってきたことで、また一段と輝いてるように見えるよ。」
千賀子はイヤリングを揺らしながら、幸せな気持ちで笑った。
彼女は自分自身の輝きを取り戻し、大切な人との絆を再確認したのだった。
初めてのイヤリングが彼女に与えたものは、ただのアクセサリー以上のものだった。
それは彼女の内側から湧き上がる自信と、大切な人との絆の象徴だったのだ。
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