小さな町の公園で、麻子と岳という二人の子供が遊んでいた。
麻子は小柄な女の子で、長い黒髪が風に揺れている。
岳は麻子よりも少背し高が高く、元気いっぱいな男の子だ。
二人は公園の木陰で休んでいると、岳が足元に何かを見つけた。
「おい、麻子、これ見てみて」
と岳が声をかける。麻子は興味津々で近寄り、岳の手に握られた物を見ると、それは小さな熊の木彫りだった。
「これ、どこから来たのかな?」
麻子が疑問を口にすると、岳は肩をすくめながら答えた。
「知らないけど、なんか可愛いよね。持って帰ってもいい?」
麻子はうなずき、
「いいよ、一緒に持って帰ろう」
と言った。
二人は木彫りの熊を大切に抱え、公園を後にした。
帰り道、麻子は手に持った熊の木彫りを眺めながら考え込んでいた。
「この熊、どうしてこんなところにあったんだろう?なんか不思議だね」
と麻子がつぶやく。
岳はにやりと笑って麻子を見つめながら言った。
「そんなこと考えるよりも、熊の木彫りがどんな冒険をしてきたのかを想像したら面白いんじゃない?」
麻子は岳の言葉に興味を持ち、目を輝かせながら木彫りの熊を見つめた。
「そうだね、じゃあ私たちも一緒に冒険をしてあげよう。きっとこの熊も喜ぶよ」
二人はワクワクしながら、木彫りの熊を抱えて家に帰った。
そして、翌日から麻子と岳は毎日のように熊の木彫りと一緒に冒険をするようになった。
彼らは熊の木彫りを公園に連れて行ったり、山に登ったり、海に行ったりと様々な場所を訪れた。
熊の木彫りは、子供たちの冒険の相棒として、いつも一緒にいた。
数年が経ち、麻子と岳は少しずつ大人になっていった。
ある日、二人は再び公園に足を運んだ。
そこで二人は、かつて冒険した思い出が甦る公園のベンチに座った。
麻子は懐かしげに笑いながら言った。
「ねえ、岳、あの頃の冒険が楽しかったよね。熊の木彫りも一緒に冒険してたな」
岳も同じように笑みを浮かべながらうなずいた。
「そうだね、熊の木彫りがなかったら、あんなに楽しい思い出を作ることもできなかったよ」
二人は改めて熊の木彫りに感謝の気持ちを抱きながら、公園を後にした。
そして、熊の木彫りは再び麻子の手に握られることなく、新たな冒険の場へと旅立っていった。
麻子と岳は、熊の木彫りの姿を見送りながら、何かを思い返していた。
その小さな木彫りが彼らに与えた冒険の記憶とは、ただの木彫りではなく、心の中に刻まれた大切な宝物だったのだ。
そして、二人は再び冒険の舞台へと向かう決意をしたのであった。
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