朝の授業が始まる前、私は教室で準備をしていた。
すると、和久という生徒が入ってきた。
彼はいつもと違う様子で、何かを悩んでいるように見えた。
「おはよう、和久くん。どうしたの?」
和久は少し戸惑ったように私を見つめ、言葉を詰まらせた。
「先生、実は……」
彼の声は小さく震えていた。
私は彼が何か大事なことを話そうとしているのを感じた。
「何か悩んでいることがあるの?話すことで少し楽になるかもしれないよ」
和久は深いため息をついた後、ついに口を開いた。
「実は、僕は……自分が本当にやりたいことが分からないんです」
彼の言葉に、私は驚きと同時に共感を覚えた。
自分がやりたいことが分からないという葛藤は、誰にでもあることだ。
「それは大丈夫だよ。人生の中で何をやりたいのか分からないことは、よくあることなんだ。自分自身を見つめ直すことも必要だし、さまざまなことに挑戦することも大切だよ」
私は和久にアドバイスをしながら、彼の背中を軽く叩いた。
彼の目には少しだけ希望の光が宿っているように見えた。
「先生、でも……周りの人たちはみんな、自分の夢や目標を持っているように見えるんです」
和久の声には少し不安が混じっていた。
「それは他の人の人生を見ているからそう感じるだけかもしれないよ。でも、本当のところは分からないんだ。人は誰でも自分だけの葛藤や迷いを抱えているんだよ」
私は和久に寄り添いながら、彼の心に寄り添った。
「自分がやりたいことを見つけるためには、自分自身と向き合うことが大切。自分が何を大切にしているのか、何に興味を持っているのか、それを探してみて」
和久はしばらく黙って考え込んでいた。
「でも、それってどうやって見つければいいんですか?」
彼の問いに、私は微笑みながら答えた。
「見つけるためには、まずは挑戦することだよ。新しいことにチャレンジしてみたり、興味があることに積極的に関わってみたりするんだ。そうすることで、自分自身との出会いがあるかもしれないし、新たな才能や夢が見つかるかもしれない」
言葉を聞いて、和久の表情が明るくなった。
「先生、ありがとう。自分を見つけるために、いろんなことに挑戦してみます」
和久の言葉に私は嬉しさを感じた。
彼が自分自身を見つけるための第一歩を踏み出したのだ。
「頑張ってね、和久くん。私はいつでも応援してるから」
彼に勇気を与えるために、私は笑顔でそう言った。
自分自身を見つけることは簡単なことではない。
しかし、和久にはまだ見ぬ可能性が秘められている。
彼が自分自身と向き合い、挑戦し続けることで、必ずや自分の道を見つけることができるだろう。
そう思いながら、私は和久と一緒に新たな旅立ちを祈りつつ、授業が始まる準備を進めたのだった。
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