ある日の給料日、美奈はワクワクしながら会社を出た。
毎月の楽しみである給料が入る日は、彼女にとって特別な日だった。
そして今月は特に、新しいドレスを買うための貯金ができたことを知っていた。
美奈は街中の洋服屋に向かった。
店内は鮮やかな色のドレスで埋め尽くされており、まるで夢の世界に迷い込んだかのようだった。
彼女は一着一着手に取り、鏡の前で試着を始めた。
しかし、どのドレスも彼女の心をとらえるものはなかった。
「なんでだろう…こんなにたくさんのドレスがあるのに、一つも気に入るものがないなんて」
美奈は少し落ち込みながらも、諦めずに次の店に向かった。
しかし、そこでも同じように結果は出なかった。
どの店でも自分の理想とするドレスに出会うことはできなかった。
「もういいや、今月は諦めて次の給料日にしよう」
美奈は少し悔しそうに言いながら、帰り道に向かった。
途中、美奈は孝之という友達に会った。彼は偶然にも同じ洋服屋から出てきたという。
「美奈、どうしたの?ドレスを買いに来たんじゃなかったのか?」
孝之は不思議そうに尋ねる。
「うん、給料日だから新しいドレスを買おうと思ってたんだけど、どの店に行っても気に入るものがなかったの」
美奈は少し落ち込んだ様子で答えた。
すると、孝之は微笑みながら美奈の手を握りしめた。
「美奈、ドレスを買うためだけに給料を使うのはもったいないよ。君はいつも周りを明るくする存在だから、自分自身にご褒美をあげるためのお金を使うべきと思う」
美奈は孝之の言葉に少し驚きながらも、彼の言うことに耳を傾けた。
「自分自身にご褒美…そうだよね。ドレスを買わなくても、他の何かで自分を褒めてあげることもできるんだよね」
美奈は少しだけ元気を取り戻し、孝之に感謝の気持ちを伝えた。
給料日にドレスを買うことができなかった美奈だったが、彼女は自分自身を大切にすることの大切さを学んだのだった。
そして、次の給料日には自分へのご褒美を用意することを決めた。
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