はじめは、小さな町での静かな生活に慣れていた。
彼は自然が豊かでのんびりとした環境が好きだったが、ある日突然、両親の仕事の都合で彼は都会に移住することになった。
新しい学校に通うことになったはじめは、初めての都会で戸惑いを感じながらも、少しずつ慣れていった。
しかし、彼の心はまだ田舎での生活に引っ張られていた。
ある日、はじめは自分のクラスに転校生がやってくることを聞いた。
彼女の名前はみどりといい、都会で生まれ育った彼女も、はじめと同じように自然が好きだという。
初めてみどりと出会った時、彼女はスーツケースを引きながらクラスに入ってきた。
みどりは小柄で、黒髪をポニーテールに結んでいた。
彼女の目は大きく、まるで森の中を歩く小さな動物のように輝いていた。
みどりはクラスメイトたちとすぐに打ち解け、明るく元気な性格でクラスを明るく盛り上げていった。彼女はいつもスーツケースを持ち歩いており、その中にはいつも何か大切なものが詰まっているようだった。
放課後、はじめはみどりと一緒に学校の屋上に行くことになった。屋上からは都会の景色が一望でき、夕焼けに染まる街並みが美しく広がっていた。
「ねえ、はじめくん。私、ここに来るたびにこのスーツケースの中で思い出を見ているの。これ、私の大切な宝物なの。」
みどりがスーツケースを開けると、そこにはたくさんの写真や手紙が詰まっていた。
はじめは興味津々でみどりの宝物を見つめる。
「これは、小さい頃に両親と一緒に旅行した時の写真。こっちはおじいちゃんが書いてくれた手紙だよ。」
みどりは一つ一つの思い出に笑顔を浮かべながら語っていく。
「私はここで過ごした日々を忘れたくなかったんだ。だから、思い出の詰まったスーツケースをいつも持ち歩いているの。」
みどりの言葉にはじめは感動し、彼女の大切な思い出に敬意を払った。
その日からはじめも、みどりと一緒にスーツケースを持ち歩くようになった。
彼は自分のスーツケースにも大切な思い出を詰め込んでいった。
そして、時が経ち、はじめとみどりは大人になった。
彼らはそれぞれの道を歩み始めたが、二人の心にはいつもスーツケースという宝物があった。
それからさらに月日が経って、はじめは自分のスーツケースを開けると、みどりとの思い出が詰まっていることに気づいた。
彼は改めてみどりとの出会いに感謝し、彼女の思い出を心の奥にしまい込んだ。
そして、はじめは自分のスーツケースを持ちながら新たな旅に出かけた。
彼はみどりと共に過ごした日々を胸に、新たな出会いや経験を大切にしながら、自分自身を成長させていくのだった。
スーツケースは、ただの荷物を詰めるだけのものではなかった。
それは人生の宝物を詰め込むための道具であり、大切な思い出を運ぶための箱だった。
そして、それははじめとみどりの絆を深めるきっかけとなった。
コメント