ある日、小学生の雅代は学校へ行くために準備をしていた。しかし、いつものようにアラームが鳴る時間を過ぎても目が覚めなかった。慌てて目を覚ますと、時計は既に8時を回っていた。
「ああ、遅刻しちゃう!」
雅代はパニックになりながら、着替えを済ませ駆け出した。玄関で靴を履こうとした瞬間、賢一という男の子が通りかかった。
「おはよう、雅代ちゃん。どうしたの、こんなに慌ててるの?」
賢一は不思議そうな表情で尋ねた。
「遅刻しちゃうから!」
雅代は泣きそうな声で答えた。
「じゃあ、一緒に行くよ。急いで!」
賢一はそう言って、雅代の手を引っ張りながら学校へ向かった。二人は一緒に走りながら、通りすがりの人たちの間をかき分けていった。
「ありがとう、賢一くん!助かる!」
雅代の声に、賢一は微笑んで応えた。
「いつでも頼んでくれていいよ、雅代ちゃん。友達のためなら、何でもするからさ」
二人は学校の門に辿り着いた。校舎に入ると、教室のドアが閉まっていた。
「あれ?まだ遅くないはずなのに、もう始まってるのかな?」
雅代は不安そうに言った。
「ちょっと待ってて、俺が確かめてくるから」
賢一は教室のドアをゆっくりと開けた。すると、中から先生の声が聞こえてきた。
「おはようございます、賢一くん、雅代ちゃん。ちょうどいいところに来てくれましたよ」
二人は驚いて教室に入り、座席に座った。
「なんで、こんなに遅れても怒られないの?」
雅代は不思議そうに尋ねた。
「実は、今日はクラスで朝の会議があるんだ。だから、みんなが揃ってから始めることになってるんだよ」
賢一は説明した。
「そうなんだ。良かった、間に合って」
雅代はホッとした表情で言った。
朝の会議が始まり、クラスメートたちと一緒に学校の近況や予定を話し合った。そして、授業が始まる前に、担任の先生が二人に声をかけた。
「雅代ちゃん、賢一くん、おはようございます。遅刻はよくないけれど、今日は特別ですからね。次からはちゃんと時間に来ましょうね」
先生の言葉に、二人は頷いた。
「はい、わかりました」
授業が始まり、二人は普段通りの学校生活を送った。
その日の放課後、雅代と賢一は帰り道で再び出会った。
「今日は助けてくれてありがとう、賢一くん」
雅代は笑顔で言った。
「どういたしまして、またいつでも頼んでね」
賢一はにっこりと笑って答えた。
二人は帰り道を一緒に歩きながら、明るい話題で盛り上がった。遅れても、助け合える友達がいることに安心しながら、二人は楽しく帰路についたのであった。
「今度は一緒に遅れずに登校しようね、雅代ちゃん」
賢一の声に、雅代は笑顔で頷いた。
「そうだね、次は絶対に遅刻しないよ。一緒に頑張ろう!」
二人は握手を交わし、明るい未来へと歩みを進めていった。
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