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好きだった作品は、私が塗り替えてしまったという話

ファン 掌編小説

私には好きな人がいた。

人となりというよりはその人が描き出す独創的な世界観が好きだったのだ。

SNSで週1くらいだろうか、そんなペースで彼の作品は投稿される。

日々彼の作品に触れていくと興味のなかった人物像にも興味を持ち始めるようになっていった。

どのようにして彼の作品が生み出されるのだろうか。

あの独創的な世界観は彼のどんな経験により成せたものなのだろうか。

一度気になりだしたら知らずにはいられない。

私は衝動に駆られていた。

彼のすべてが知りたい。

そんな一心から私はSNSを通してありとあらゆる情報を集め、メモ帳感覚でツイートしていった。

そしていつしかファンやアンチから通知が来るようになった。

私のツイートがニュースサイトに口コミとして取り上げられたこともある。

そう、私は発信力のあるインフルエンサーへと変貌を遂げていたのだ。

私の1ツイートは何千人、何万人という人の目に届く。

インプレッションを見れば一目瞭然だった。

そして私の推しである彼のアカウントはフォロワーが情報発信前である2か月前より一桁増加している。

きっと私の力もあってのことだろう。

彼が人気者になれば、様々なメディアに取り上げられ、より彼を目にすることが多くなるだろう。

だがそんな中、アンチの中には、人の私情を公にするな、明人はつまらない、噂ごときで反応する奴らの末路は大体わかるw。

そんな誹謗中傷や批判とも取れる書き込みは数多く寄せられ、日々増加傾向となり、明人本人への弊害にも及んでいた。

昨今はトレンドに載るほどに彼の話題であふれていた。

ファンの私としては喜ばしいことだ。

彼の私情というか、名を伏せて書かれた日記を見つけた。

文体や書いてある内容から彼が執筆したものであることがわかった。

それを私は自分のSNSアカウントで開示した。

そうしたらどうだろう。

ネットで言う炎上を起こしたのだ。

私としてはその内容も含め、彼の良さと思っていたが、イメージダウンとも受け取る人物もいたそうだ。

その日以後、彼は不調となり、Web小説の更新は停止していた。

どうしたのかとコメント欄にメッセージを残すと、本人から返答があった。

自分のことを知られすぎて僕には背負いきれないくらいの言葉で攻撃を受けてから、筆が進まなくなってしまった。

物語がうまく書けない。

その理由がファンである気味が要因であると知ってから僕は電子書籍という形でやっていこうと思う。

そう綴られていた。

彼のことを知ることができなくなってしまう。

そう思った私は、数をもって彼を説得することにした。

しかしその行為は逆火となり、自分への批判もあったし、何より明人への暴言が絶えなかった。

彼への評価は匿名なら陰口を言うやつということだった。

人は誰しも裏の心を持つものではと思う。

そう思っていたら純粋にその発言が許せなかった。

しかし、ネットでいくら私が言おうとも、アンチの考えは曲がらず、むしろ攻め方が強くなるばかり。

私の何がいけなかったのか、先月の作品で絶筆となった。

彼のブログに残っていたのは、「前はあんなことを言ったけど、僕を有名にしてくれてありがとう」という一文だった。

違う私の行いは・・。

私はそう一言叫んで涙した。

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