ロゴユメ

エプロン姿の君を探して

ショートショート 私色日記Ⅲ

新婚生活まではあと2年くらいかな。

式はきっと挙げることはできないだろうけれど、ちゃんと指輪は渡そうと思っている。

毎日あくせく働いて、嫌な仕事も君が返ってきて、エプロン姿のままお帰りといってくれる、それだけですべて忘れられる感じだった。

「今日も料理頑張ったんだ!」

手にばんそうこうをつけながら、左手にお玉を手にしてぶんぶんふりながらそう言っていた。

まったく、僕より料理が苦手だったはずなのに、仕事が忙しくなってからは、僕を心から支えたいと自分なりに頑張りを見せているのだった。

「今日もおいしいよ」

「そう、嬉しい!明日も頑張って作ろうかなぁ?」

それが、褒めることを望んでいるのか、単に僕に喜んでほしいのかは今となってしかわからない。

その時には気づけなかったんだ。

ただ幸せな日々に溺れていて、気づけていたようで気づかない毎日。

君のエプロン姿が遠のく感じがしたのは、同棲してから1年が経過し、結婚指輪を用意して、家に帰った時だった。

正直何か脳に異常が出ていたのかもしれないけれど、階段から転げ落ちて、関節があらぬ方向に曲がっていたエプロン姿の彼女の姿があった。

婚約する以前に運命から彼女が除外された、まるでこの運命の中では、僕と彼女が出会うことが間違えだったと語るように。

今夜はカレーライスだった。

味がとても凝っていておいしい野菜カレーだ。

ただ彼女らしく、少し不器用なところも残っている。

野菜が大きくカットされていた。

それを見て僕は深く涙した。

救急車を呼び、彼女は眠りについた。

今でもそのエプロンは彼女の大切な形見としてとってある。

いつまでも、僕一筋ていてくれた、帰りを待ってくれた彼女の存在を忘れないように。

帰宅するといつもエプロン姿の彼女が出迎えてくれる気がして・・・。

どこかでありもしない再開を望んでいるのかもしれない。

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私色日記Ⅲ
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