志織は慌ただしい街の中で一人歩いていた。
人々の足音、自動車の轟音に包まれながらも、彼女はどこか寂しさを感じていた。
少子化が進み、人が減り、街はますます冷たくなっていく。
そんな中、彼女はふと目に入った公園に足を止めた。
公園にはたくさんの人々がいた。大人たちは忙しそうに仕事の話をしていたり、スマートフォンに夢中になっていたりする。
子供の姿はほとんど見当たらない。
志織は寂しさを感じながらも、何かを求めて公園を歩き回った。
すると、彼女の目にひとりの少年がとまった。
彼は一人で遊んでいるように見えたが、彼もまた寂しさを抱えているのかもしれないと思った。
志織は少年に声をかけた。
「ねえ、一郎くん。一緒に遊ぼうよ」
一郎は驚いたように振り返り、志織を見上げた。
「僕、一郎って言われたことないな」
志織は微笑んで言った。
「じゃあ、これからは一郎くんだね。ねえ、一郎くん、ふたりで公園を楽しもうよ」
一郎は戸惑いながらも、志織の手を取った。
「でも、僕ひとりじゃないと遊べないんだよ。みんな忙しくて、誰も遊んでくれないんだ」
志織は一郎の手を握りしめ、優しく微笑んだ。
「大丈夫、ふたりで遊ぼう。いつでも、どんなときでも、一緒にいるから」
ふたりは公園中を駆け回り、笑い声を上げた。
他の人々からは距離を置かれているふたりだったが、彼らにとってはお互いが唯一の存在だった。
時が経ち、ふたりは大人になった。
少子化が進み、ますます人々の孤独は深まっていったが、志織と一郎はずっとふたりでいた。
ある日、一郎は志織に言った。
「志織、ふたりで結婚しよう。ずっと一緒にいる約束をしよう」
志織は幸せそうに笑って、一郎の手を取った。
「私たちだけの世界を作ろう。ずっとふたりで、ずっと一緒にいる」
ふたりは結婚し、幸せな日々を送っていた。
彼らの存在は少子化が進む中で、希望となり、人々に勇気を与えた。
そして、30年後のある日、志織は一郎の手を握りしめながら、公園を歩いていた。
街はますます寂しくなり、人々はますます孤独になっていた。
しかし、志織と一郎はふたりでいることで、寂しさを感じることはなかった。
彼らは公園のベンチに座り、手を繋いで夕日を眺めた。
一郎はしみじみと言った。
「志織、ふたりで過ごした日々は本当に幸せだった。ありがとう」
志織は涙をこぼしながら微笑んだ。
「私も幸せだったよ。ずっとふたりでいられたことが、一番の宝物だよ」
ふたりは手を繋いだまま、夕日に染まる公園を見つめ続けた。
彼らの存在は少子化が進む中で、ひとりひとりの心に希望を灯し続けていた。
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