「どうもどうも、え、1億年ぶりの配信となっております」。
この挨拶から始まる配信は、人気VTuberなれないちゃんの活動のリアルな側面を映し出していました。ファンからは「8月失踪セカンドシーズン」と揶揄されるほど久々の配信となった今回の放送では、元気な姿を見せつつも、普段は語られることのないVTuberとしての苦労や葛藤が垣間見えました。配信中の飾らない言葉の端々から見えてくるのは、VTuberという華やかな存在の裏側で、彼女が抱える等身大の悩みでした。
この記事では、なれないちゃんの配信を元に、VTuber活動における知られざる苦労を掘り下げていきます。
VTuberの苦悩①:配信の裏側にある数々のトラブル

配信の冒頭から、なれないちゃんは技術的なトラブルに直面していました。背景の設定に苦労し、「ちゃんとした背景がないな」と本音が漏れる場面や、マイクの不具合で設定をやり直した結果、「また爆音になってるかもしれなくて」と視聴者に謝罪する一幕は、
VTuberが直面する日常的な技術トラブルを物語っています。
彼女は「配信が最も私がベラベラ喋っている瞬間」と語るほど、普段から饒舌なわけではないようです。しかし、そんな配信での「おしゃべり」は、彼女にとって意外な苦労をもたらしていました。「喋ると鼻が詰まる」「おしゃべりアレルギーなのかな?」と、長時間話すことによる体調の変化を明かし、好きなことだからこそ直面する身体的な負担についても触れていました。
VTuberの苦悩②:プライベートとの両立、時間管理の難しさ

VTuberとして活動する一方で、なれないちゃんは他の活動も精力的にこなしています。配信の中で、彼女は本業の「フルタイム」の仕事に加え、「小説」や「漫画」も執筆・投稿していることを明かしました。
「正直誰かを大事にできる時間がね、ちょっとね、ないかなってところはある」という言葉からは、多忙な日々の中でプライベートを犠牲にせざるを得ない
VTuberの現実がうかがえます。9連休の夏休みも、「家に3日しかいなかった」と振り返るほど、プライベートでも多忙を極めていたようです。 VTuber活動に理解があり、クリスマスや正月といったイベントごとを配信に費やしても文句を言わない、そんな「都合が良すぎる」人間はいないと自嘲し、恋愛や結婚の難しさを語る姿は、活動とプライベートのバランスに悩む多くの
VTuberの代弁と言えるでしょう。
VTuberの苦悩③:個人勢と企業勢、それぞれの道にある葛藤
なれないちゃんは、かつては企業に所属する「企業勢」として活動していた時期があったことを示唆しました。企業に所属していれば、イベント参加などの面で強みがあったものの、現在は個人で活動する「個人勢」となり、コミケのような大きなイベントへの参加方法に悩んでいる様子でした。
「個人勢になったらどうやって参加したらいいんだろうね。雇えばいいんかな人を」という問いかけは、企業の後ろ盾を失った
VTuberが自力で活動の幅を広げていくことの難しさを物語っています。VTuberとして認知度を高め、ファンと交流できる場を増やすためには、イベントへの参加は不可欠です。しかし、個人でそのすべてを準備・実行することの負担は計り知れません。企業勢と個人勢、どちらの道を選んでも、それぞれに異なる苦労があることを彼女の言葉は示しています。
VTuberの苦悩④:過去のトラウマと向き合う配信活動
配信中、彼女はコミケでのカップリングの話題から、自身のトラウマについて赤裸々に語り始めました。それは彼女が「NTRとBSSが地雷」であると公言する理由となった、幼少期の出来事でした。
小学生の頃、グループのリーダーに「男子と喋るもんじゃない」と言われたことで初恋の相手に話しかけるのをやめたところ、そのリーダーが初恋の相手と仲良くなってしまい、「初恋の人がリーダーちゃんの囲いのうちの1人になってしまった」。この経験が、彼女の「BSS」に対する強い苦手意識の原点になったと語っています。
一見、おふざけのように語られるVTuberの個人的な話の裏には、視聴者に自身の心の傷をさらけ出す勇気と、それを乗り越えようとする強さが存在します。彼女の言葉は、配信という場で自身のパーソナルな部分を切り売りすることの難しさ、そしてそれでもなお、ファンと深く繋がろうとするVTuberの誠実さを感じさせます。
VTuberの苦悩⑤:同人誌をユーモアに語るなれないちゃんと身体的苦痛の掛け合い
なれないちゃんは病院での体験についても語っています。彼女は「ケツはあの病院で破壊されました」と語り、処置後の激しい痛みを明かしました。
「マジでおじさんに何てことをしたんだろうって思ってかいてた」という、どこか自虐的ながらもユーモアを交えた語り口は、
VTuberとしてのエンターテイナー精神を感じさせますが、その裏には物理的な痛みというリアルな苦労が隠されています。体調管理も自己責任である個人VTuberにとって、配信外での予期せぬトラブルや体調不良は、活動に直接影響を与える大きなリスクとなります。
まとめ:VTuberの苦労は「何者にもなれない」から生まれる
なれないちゃんが語る数々の苦労は、どれも「完璧な存在」ではない、一人の人間としての
VTuberの姿を浮き彫りにしています。彼女は配信中に「もう2度と何者にもなれないと名乗るなって言われるわ」と自虐的に語るシーンがありましたが、この「何者にもなれない」という言葉こそ、彼女の活動における最大の苦労と向き合う姿勢を表しているのかもしれません。
技術的なトラブル、多忙なスケジュール、そして過去のトラウマ。これら一つ一つの苦労は、なれないちゃんが「何者にもなれないちゃん」として、唯一無二の存在感を確立するための糧となっています。彼女の配信は、VTuberを目指す人々、そしてVTuberを応援する人々にとって、華やかな表舞台だけではない、その裏側にある真の「苦悩」と「努力」を知る貴重な機会となるでしょう。
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