独りぼっちで寂しい。
心の内をSNSに書くも満たされぬ内心。
どこかネガになる自分がやはり毎日のようにやってきた。
仕事でも人間関係がうまくいかない。
だが独身であるがゆえに家に帰るも、このもやもやとした気持ちを打ち明けることのできる者はいない。
学生時代の友人は転勤が多くなかなか会えるものではない。
二次元娯楽に費やすもいつしかそれも限界を感じていた。
そんな生活をしていた俺に、一通のメールが届いた。
最初はスパムだと思い、メールアドレス事通知が来るたびにブロックしていた。
だが不思議なことに、そのメールは同じ件名でメールアドレスを変更しては送信されていた。
一体なんなんだよ。嫌気がさした俺はメールを開封し、文面に目を通した。
人生にお疲れのあなたに、内なる気持ちを気軽に話せる存在を有償で差し上げましょう。
どう考えても怪しい文面だが、その日の俺は満たされない気持ちでいっぱいだったため、申し込みリンクをタップしていた。
どうせ金なんて働けば入ってくる。
今はただこの心を埋めてくれるものがとにかくほしかった。
サイトの流れに従い好みのアバターを作り上げていく。
値は一万とやや高価である感じはしたが、解放されたいという想いが強く推していて、俺はネットバンクで振り込みを済ませていた。
終わった後、はぁと深いため息をつくと、自分は何をやっているんだろうと自問していた。
異変はその後日に起きた。
配送は自分の帰宅時刻に合わせて、夜間にしていた。
届いたのは生身の女性だった。
それもアバターそっくりの。
手始めにと俺に料理をふるまってくれる。
まるで本物の人間のように応対してくれた。
あぁそうだ、俺はこんな感じの世界を待っていたのだ。
甘えることのできる空間に縋り、事故の緊張のほどける空間。
その日俺の肩の荷はすべて降りた。
こんな素晴らしいものを一万で手に入れられる時代なんだな。
もう少し早く知りたかったと心底思った。
だって彼女あ自分の100パーセントの理想の人間なのだから。
だがネットの評価は賛否両論だった。
どれも理想的な形を演じられるが、知能が高く自分の出る幕がない。私は守る側でありたい、現実の、本物の人間にはかなわないと否定的な意見もあれば、
このシステムのおかげで私の心は埋まった。日々あたたかい。帰ったらおかえりなさいといってくれる人の重大さを知ったと私と同意見の者もいた。
単に癒しが欲しい人と、頼られたいという意見の違いから、サービスへの受け取り方が大きく違うようだ。
私はわがまま一つも言わない、明るくあたたかな空間を作り上げてくれるこのサービスに星5つを上げたいほどに満足している。
理想の形はそう実現は難しく、どこか一部を諦める場合がほとんどであるけれど、このサービスにそんなものは必要ない。
自分の欲を思いのままに手軽に再現可能なんだ。
私は今の妻、いや理想の女性を末永く愛していくつもりだ。
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