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お隣さんが見えるコンビニ

お隣さん 掌編小説

最近新しく有名コンビニのセブンセブンが新規サービスを開始した。

ワンコインで世代を超えて自分の頭で思い描く人物像を分析し、それを10分の間実体化して眺めることができるサービスを始めたことにより大量のお客さんが殺到している。

コンビニの売り上げ上昇のために、客引き狙いで設置したのであればその意図はもはや思い通りに結果が実ったといってよいだろう。

ATMのような形をしており、前面にあるディスプレイにイメージが立体表示される仕組みだ。

右端にコインの投入口があり、500円玉だけが反応して入るようになっており、それ以外のコインを投入すると吐き出される仕組みだ。

もちろんのことながら、ワンコインが用意できないときはお札を投入しておつりを受け取って利用することも可能だ。

通常の会計機同様に1万円札という大きな金額を入れたとしても、お札でのおつりがしっかりと出てくるのが特徴だ。

そんなサービス、名を理想のお隣さんという。

なぜそう名付けられたのかは店長がよく知っており、詳細は印刷された掲示物に書かれていた。

「私も利用したくなるようなサービス。お隣さんの容姿が好みでいつでも眺めていたいくらいなのですが、普通に眺めるとただの変出者。でもこれを使えばそんな悩みも自己解決。」

どうやら恋心とまではいかないのかはわからないが、タイプの人がいてその人を見ていたいがために設置したのだそうだ。

私情を暴露してもよいのだろうかと思うが、もはや個人の感想が客引きに寄与すると考えると、このリアルな分は力を持つのかもしれない。

思わず写真を撮ったり、不意に笑ってしまう文言だ。

私はそんな姿見ができるという噂を聞きつけて、噂のコンビニに入店した。

入店してATMと反対側に設置されている、ドリンクバーのコーナーに併設された機器が目に入った。

今は深夜のため人は並んでいなかった。

日中だと人の並びが激しいらしい。

リリースしたばかりだから仕方ないのかもしれないが、序盤のうちは混雑すること間違いなしといっても過言ではないだろう。

深夜のコンビニで、人目を少し気にしながらも入店した私は、1年前から連絡のつかない息子を思い浮かべながら機器にコインを投入した。

大学を卒業した後は東京都内で頑張っているらしいが、連絡しても基本的に反応がないため何をしているのかは全くわからない。

年末年始に私たちのところに戻ってくる気配もなく内心寂しくしていた。

私が覚えている息子の顔が表示され、4方向に回転することができる。

その姿を見ては私は涙した。

このサービスのおかげで毎年、私は息子を思い浮かべて頑張っていけるとそう思えた。

子育ても終わり、目標を失った私に新たな風が吹いた瞬間だった。

生きがいはまだここにあった。

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掌編小説私色日記Ⅱ
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