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飲む娘

少女 掌編小説

毎日牛乳と栄養補助食品の組み合わせでカルシウムとたらふくとっていた。

それが私の娘の特徴である。

お茶やジュースは飲まないのか?と尋ねると、牛乳に一途という旨を伝えられるだけだった。

コーラはもってのほか。

どうやら飲んだら骨が溶けるという話を信じているらしい。

古典的は発想だが、今はそんなこともないように思える。

娘の行動に変化はない。

小学校6年生では中型の身長だから実際問題平均的で何ら問題はないが、140cmという身長だとまだ不満なのだろう。

何せ両親そろって低身長だからそれを気にしてか、将来いろんな仕事に就きやすいように身長を大切にしていると言っている。

確かにある程度の身長はないと業務に差し支えがあるうえ、採用すらされないかもしれない。

家においては高いところのものをとるなら台を利用して、上に乗って取ればよいだけの話だから、気にするまでもなかった。

娘には伝えてないが、遺伝の関係で牛乳を飲んでも伸びない人は伸びないため普通に生活していれば自然と決まった量で伸びると思うのだけれど、あえてその努力を否定したくはなくて何も言い出せないままだ。

娘が牛乳を家でも飲むようになったのは小学3年生になったころだった。

初めて助手席に乗ってからというもの、考え方が一変したのだろう。

運転する父親の姿でも見たのだろうか。

身長は母親のほうが低くて158cmだ。

それより少し高い168cmの父親は日本の平均にこそ届いていないが、運転するのにはちょうど良いサイズ感覚と認識している。

このことを娘に話すと、お父さんくらいの背の高さがいい。

高すぎても車の天井に頭をぶつけそうだし、運転しずらそうだし、程よい身長でとまってくれないかなぁとかわいらしい意見をこぼした。

父親はそんな娘の反応が面白くてひそかに日頃つけている日記に娘の成長記録を書いたりしている。

時は流れて娘は大学生になっていた。

身長は160cmと父親より低いが身長にはもう満足してるようなのにいまだに牛乳は欠かさず飲んでいた。

いつもの流れだから、それが娘の風習だからと言ってしまえばそれまでだが、なぜ飲むのか問うと今度は胸部を少し大きくしたいからという理由だった。

大学1年生になったばかりで、まだ成長の兆しはある。

高校生というとまだ胸のサイズはみんな小さめなのが一般的だが、大学生くらいの年齢になってくるとみんないきなり大きく膨らむようだ。

娘の目線に気づいて両親ともに大笑いした。

赤面する娘も実にかわいかった。

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