新婚生活が始まってから、ベッドで寝ていると孤独を感じなくなった。
何とも言えない安心感が、私の寝つきをよくしてくれている。
寝るときに彼の横顔をみて、起きたときに彼の横顔を見て、何度安堵したことだろうか。
独身の時までは独り身のことが多かった。
子供のころから家に帰っても親は共働きで、青春の1ページの時間といえるものが何一つなかった。
お金がないから共働きになる。 放置される子供の身にもなってほしい。
朝から夜まで孤独で、学校にいる間だけ周りに人がいて、学校にずっといたいとさえ思った。
でも学校ではそれは許されることはなかった。
だって下校時刻が来たら皆は一斉に帰ってしまったり、部活動にいそしんだりしている。
部活に入れば友達と長くかかわる時間も持つことができるのだろうけれど、残念なことにうちにはお金がない。
部活を満足にできる環境さえないのだ。
みんなと同じようで同じ環境に立たされていなくて、内面はとても周りより水ぼらしい姿をしているのだろうと、負い目を感じていた。
だから、ちょっとの間でも私に興味を持ってもらえるようにって、勉強を頑張っていた。
良い成績を取れば誰かが認めてくれるから、人が自然と寄ってくると思ったからだ。
予想通り人は寄ってきた。
でも勉強を教えてという都合の良い関係でしかなくて、テスト期間が近づいた時しか私に長く話をかけてくれる人はいなかった。
きっとその時から人肌恋しかったのだろう。
両親は起きるときも寝るときも一緒にいない。
そんな生活の中で、両親は私の朝顔だけを眺めてすぐに仕事に行ってしまう。
守るべきもののためにたくさん稼がなければならないという事実はわかっている。
だけれどもっと私に愛を尽くしてほしかった。
なんだか私って大切にされていないのかな。
気づいたら私は結婚した彼の横で泣いていた。
「どうしたんだい?」
彼は心配そうな顔をして私の頭をやさしく撫でる。
「学生の時の悲しい思い出の夢を見て・・・」
「そうかい、大丈夫、君の横にはいつも僕がいるから」
そういわれただけで、本当に心から救われた。
だって彼と結婚するまでは、ずっと一緒に行ってくれる人なんて誰一人としていなかったから。
本当の意味での愛情って、きっと他愛ない時間をじっくりと共有できる仲なんだと思う。
「私、あなたと一緒に入れる時間が何より好き。」
私は彼のぬくもりを感じながら、また深い眠りについた。
本当に幸せな時間だった。
一人じゃないってこんなに幸せなんだ。
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