企業は従業員の健康管理を目的として、法律に基づき健康診断を実施する義務があります。その結果を適切に保管することも、企業の重要な責務の一つです。本記事では、健康診断結果の会社保管義務について詳しく解説し、適切な管理方法をご紹介します。
健康診断の実施義務

労働安全衛生法第66条により、企業は従業員に対して年に1回の定期健康診断を実施することが義務付けられています。健康診断には以下の2種類があります。
- 一般健康診断:すべての正社員および特定の条件を満たすパート・アルバイトを対象とする。
- 特殊健康診断:特定の有害業務に従事する従業員を対象とし、法令で定められた項目を検査。
健康診断結果の保存義務と期間
健康診断の結果は、労働安全衛生法および労働基準法に基づき、企業が一定期間保管する義務があります。
- 一般健康診断:最低5年間の保管が必要。
- 特殊健康診断:業務内容によって5年から最大40年の保管が義務付けられる。
特に有害業務に従事する従業員の診断結果は、長期間の健康影響を考慮して保管期間が長く設定されています。
健康診断結果の保管方法

健康診断結果の保管方法には、大きく分けて2つの方法があります。
1. 紙媒体での保管
従来の方法として、診断結果を紙の書類で管理する方法です。ただし、物理的な管理スペースの確保や紛失リスクが課題となります。
2. 電子データでの保管
近年は電子化が進み、安全かつ効率的な管理が可能です。データのバックアップやアクセス権限の管理により、情報漏洩のリスクを軽減できます。2025年1月1日からは、一部の健康診断結果報告書の電子申請が義務化されており、企業は電子管理体制の整備が求められています。
個人情報保護と管理のポイント
健康診断結果は要配慮個人情報に該当するため、適切な管理が必要です。

- 情報の利用範囲を限定:従業員の健康管理のためにのみ使用。
- 従業員の同意を取得:個人情報保護法に基づき、情報取得の際には事前に同意を得る。
- アクセス権限の管理:社内で適切な権限を設定し、情報漏洩を防ぐ。
- 厳格な管理体制の整備:責任者を設置し、定期的な管理体制の見直しを実施。
健康診断結果の従業員への通知義務
企業は、従業員が自身の健康状態を把握し適切な対策を講じられるよう、健康診断結果を遅滞なく通知する義務があります。結果通知を怠った場合、労働安全衛生法に基づき罰則が科される可能性があります。
50人以上の企業の追加義務
従業員が50人以上の企業は、定期健康診断結果報告書を労働基準監督署に提出する義務があります。一方、50人未満の企業には提出義務はありませんが、健康診断の実施と結果の保管義務は変わりません。
まとめ
健康診断結果の適切な保管は法的義務であり、従業員の健康管理において重要な役割を果たすため、企業は結果を最低5年間(特殊健診は最大40年)保管し、2025年以降の電子申請義務化に対応した電子データでの保管を推進しながら、個人情報保護の観点から適切な管理体制を整備し、従業員への結果通知を徹底した上で、50人以上の企業は労基署への報告を行うなど、法律を遵守しながら従業員が安心して働ける環境を整えることが求められます。
コメント