クラシック音楽や現代音楽の世界で、近年、女性作曲家への注目度が高まっています。歴史の中で埋もれてしまっていた才能が再評価され、また、現代の第一線で活躍する新たな才能も次々と登場しています。この記事では、女性作曲家の歴史的な背景から、日本で活躍する著名な作曲家、そして一人の現代女性作曲家へのインタビューを通して、彼女たちがどのような想いで音楽を創作しているのかを深掘りします。
歴史が語る女性作曲家の歩み
クラシック音楽の歴史を振り返ると、女性作曲家の数は男性に比べて圧倒的に少ないのが現実でした。この背景には、社会的な制約やジェンダーバイアスといった複雑な要因が絡み合っています。
- 社会的な制約と教育格差 19世紀以前の西洋社会では、女性は家庭を支える存在と見なされ、高等教育を受ける機会が限られていました。音楽においても、演奏家や歌手としては活躍できても、作曲という「創造的で体系的な」活動は男性の領域とされ、女性が専門的な作曲教育を受けることは困難でした。
- ジェンダーバイアス 作曲活動は、論理的思考や構造構築力が求められるため、伝統的な性別役割の中で「男性的な才能」とみなされることが多く、女性の作品が正当に評価されない時代が続きました。ファニー・メンデルスゾーンのように、弟のフェリックス・メンデルスゾーンの名義で作品を発表せざるを得なかった例は、当時の状況を物語っています。
しかし、このような困難な時代にも、多くの女性作曲家が作品を残しています。クララ・シューマンやルイーズ・ファランク、エイミー・ビーチ、セシル・シャミナードといった作曲家たちは、その後の女性たちに道を拓きました。彼女たちの功績は、近年になって再評価が進み、専門書やコンサートなどで取り上げられる機会が増えています。
日本を代表する女性作曲家たち
日本でも、多くの女性作曲家が音楽史に名を刻み、現在も活発に活動しています。彼女たちは、クラシック音楽だけでなく、映画音楽やポピュラー音楽の分野でも才能を発揮し、多岐にわたるジャンルで活躍しています。
- 歴史のパイオニアたち 幸田延(こうだ のぶ)は、日本初の本格的な器楽曲作曲家として、日本の西洋音楽教育の礎を築きました。また、金井喜久子(かない きくこ)は、日本で最初の女性交響曲作曲家であり、沖縄の民謡をモチーフにした作品で知られています。吉田隆子(よしだ たかこ)は反戦や女性解放をテーマに作曲し、社会的なメッセージを音楽に込めた先駆者です。
- 現代の第一線で活躍する才能 現代では、木下牧子(きのした まきこ)が合唱曲や管弦楽作品で国内外から高い評価を得ています。また、田中カレン(たなか かれん)や藤家溪子(ふじいえ けいこ)、そして近年国際的に活躍する桑原ゆう(くわばら ゆう)など、現代音楽の分野でも多くの才能が注目されています。映画やドラマ音楽の分野では、大島ミチルや梶浦由記といった名前が広く知られており、その作品は多くの人々に愛されています。
現役女性作曲家「浪人仮面ライダーZ」の軌跡
2023年度の当時17歳の時に、かまの悠作とRealityを通じて出会い、初めはギターの演奏を中心に弾き語りを行っていたのが印象として残っています。当時は軽音部に所属する傍ら、なかなか友達となじめず、知人に話をかけられただけで飛んで喜ぶほどうれしく思うくらいだったそう。
かなり内向的な彼女を支える基盤になったのはおそらくネットでのライブ配信を通じた音楽活動だったと推測します。ボーカロイドとDTMを使った自作の音楽もYouTubeやX(旧Twitter)に上げていたこともあり、MVまで自作していて本当にすごいなって思ってます。MVの挿絵をかまの悠作が無償で提供したこともありますが、やはりそこは自分の絵を生かしたいという想いもあったのでしょうか、公開後にすぐ非公開になってしまいました。
その時に、歌詞は無限に思いつくけれど、当時作曲の能力は持ち合わせていなかったかまの悠作が当時ユーザー名と名乗っていた浪人仮面ライダーZさんに作曲の依頼をしました。
未成年だから、若年層だから、そんなの関係なしにこの人には才能があると思ったから。
浪人仮面ライダーさんとしてもそれが初めて受けた依頼だったらしく戸惑っていたようですが、了承して一生懸命作ってくれました。以下の2曲が当時17歳の彼女が作った曲です。
依頼以上の美しいメロディーで、何より心に響く曲。途中で見え隠れするミステリアスな感じ。とても好きです。現在でもかまの悠作は愛嬌でゆざめと当時のニックネームで呼んでいて、良好な関係は続いています。サブスクライブの活動名もユーザー名のままであり、かまあんでの作曲を担当したときはユーザー名という表記、個人での作曲活動の時は浪人仮面ライダーZと名乗るようにしています。
女性ならではの作曲の裏側:一人の女性作曲家、浪人仮面ライダーZさんへのインタビュー

ここからは、現代で活動する一人の女性作曲家「浪人仮面ライダー」さんへのインタビューを通して、彼女の創作の原点や、日々の葛藤、そして未来への展望に迫ります。
作曲をはじめてするきっかけになったのはいつ頃ですか?
なんとかFコードを鳴らせるようにまではなった中学二年生の頃です。自分で弾いて、自分で歌って、それが自分の歌で…。こんなことができたら楽しいだろうなって思ったのがきっかけです。
何度か学生時代に入院をされていると思うのですが、その時にも作曲について追及したことはありましたか?
数えきれないくらいあるかもです。自分の曲のほとんどは入院中に作って入院中に完成させたものばかりです。精神科の本棚にあった興味深い心理学の本や、家族に届けてもらった漫画や小説を読んでみようと思っても、文字が全く入ってこなくて。文字がまるで知らない記号みたいに見えてくるんです。受験も控えていたので数学の問題集を解いてみようとしたのですが、今までなら簡単に解けてた問題ですら、問いの部分さえ読むことができなくて。もう駄目だと思いました。でも、文字を読むことが出来なくても、書くことなら出来ることに気がついて。そこから歌詞をノートに書き溜めるようになりました。
昔と今では作曲に込める想いに違いがありますか?
想いに変わりはないのですが、作曲をする理由には違いが出てきました。前はとにかく曲を作りたいだけだったのですが、今はライブに出たいから曲を作りたいになりました。こんな私を応援してくださるフォロワー様のおかげです。
収入面や未来への漠然とした不安に影響されて作曲に影響が出てしまうことはありますか?(良い意味でも悪い意味でも)
かなりあります。収入が不安でバイトの時間を増やすと、曲を作ろうと思えないくらい疲れてしまって…。将来への漠然とした不安があると、私の場合は逆に作曲の手が進みます。歌詞を書いたりギターを弾いて発散させたくなってしまって。
普段はどの程度作曲に時間をかけていますか?
とにかくバラバラです。一日で終わることがあれば、一か月かかることもある…。作曲の知識や音楽理論はあまり知らなくて、大部分は衝動だけで作っているので、アイデアが出るかどうかにかかってます。
作曲するときのネタはどこから持ってきていますか?
夏だから夏の歌詞書こう!水族館好きだから水族館の歌詞書こう!みたいな感じで、あまり深くネタを考えることは無いので、自分の好きなものとかですかね…。
今後もかまあんの楽曲をユーザー名という名義でご依頼させていただくと思いますが、今後もご協力いただけますか?
是非、お力になれればと思っています。CDが完成次第余裕が出てくるので、しっかり歌詞を読み込んで、誰かと一緒に音楽を作ったりしたいなと考えています。
音楽界の未来を拓く女性作曲家たち
女性作曲家は「いない」わけではなく、歴史の中で埋もれていた才能が再評価され、現代では多様な分野で活躍する女性作曲家が確実に増えています。浪人仮面ライダーさんのインタビューからもわかるように、彼女たちはそれぞれの人生経験や想いを音楽に昇華させ、私たちに感動を与え続けています。
音楽業界全体で、女性作曲家への支援や、作品を発表する機会を増やす取り組みが活発化しており、今後ますます多くの才能が日の目を見るでしょう。彼女たちの音楽は、クラシック音楽の伝統を守りながら、新しい時代の感性で音楽界を豊かにしています。これからも、多様な才能が織りなす音楽の未来から目が離せません。
まとめ:女性作曲家たちの足跡と未来への展望
歴史的に見れば、女性作曲家たちは多くの障壁に直面しながらも、着実に音楽界での存在感を高めてきました。社会的制約やジェンダーバイアスによって長い間その才能が正当に評価されてこなかった現実がありましたが、近年では再評価の動きが活発になっています。
日本においても、伊福部昭に弟子入りした黛敏郎から始まり、現代では木下牧子や田中カレン、梶浦由記といった多くの女性作曲家が活躍しています。彼女たちはそれぞれの分野で独自の音楽性を発揮し、多くの人々に感動を与えています。
浪人仮面ライダーさんのインタビューからは、現代の女性作曲家が直面する収入面での不安や創作の原動力、そして音楽への純粋な情熱が垣間見えました。彼女の言葉からは、困難な状況であっても音楽が心の支えとなり、創作の原動力になっていることが伝わってきます。
音楽界の多様性が増すことで、より豊かな表現や新しい音楽の可能性が広がっていくことでしょう。女性作曲家たちの活躍は、単に平等性の観点からだけでなく、音楽文化そのものを豊かにする重要な要素となっています。今後も彼女たちの創造性と才能に注目し、応援していくことが、音楽の未来をより明るくすることにつながるのです。
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