生徒指導室常連

出会いは生徒指導室だった。

俺の通う学校では月に一度諸検査という頭髪の長さと、服装を知らべるというものが行われる。

今回諸検査の改善の報告に来ていた。

俺の隣の席に腰を掛けている彼女に目をやる。

俺は顔も知りだった。

彼女、朝倉舞は普通科Sクラスの上位にいる人だった。

いつも学年順位を貼られているから、名前は知っている。

顔はここに入るときに呼ばれていたから知った。

皆から優等生として慕われていることと対照的に生活指導をする場である教師がやってきて、衝撃の言葉を投げかけた。

「朝倉、お前はなんで諸検査の度にここに来るんだ?日程は予め公言されているだろう。準備の一つもできないのか?それともなにか、準備を怠るほど忙しい何かがあるのか?」

すると彼女はニヤリと笑い、そのまま返答した。

「毎日があまりにも退屈でみんなと違うことでもしてみたくなったんです。諸検査でひっかかるのはこの学校ではレアなケースと聞きますが、あえてそれに引っ掛かったらどうなるか。知れるだけでも楽しいと思います。」

それを聞いて教師は深いため息をつくと、とりあえず改善結果はよし、教室に戻っていいぞと言った。

生徒指導室を出ると、彼女は俺に話をかけてきた。

「私たちって似た者同士だと思わない?」

「根拠は?」

「あなたはわざと諸検査に引っ掛かっている。暇つぶしのためか、退屈しのぎかわからないけれど。」

「わざとといっても捉え方が違うな。俺は部活の休みがなかなかないんだ。髪を切りに行けるタイミングを逃して諦めた。ただそれだけのことさ。」

彼女は歩みを進め、俺の前で静止すると顔を覗き込んだ。

「Sクラスの高橋なおきくんでしょ。部活をやっている割には内向的というか、教室ではいつも一人で昼食を取ったり、読書をしたりしているよね。」

よく見ているなと思った。

俺の場合、他人のことなんてほとんど目もくれず自分の世界の中で生きてきた。

「別に孤独で困ったことなんて今までになかった。きっと今後も大丈夫さ。それにまだ俺たちは高校一年生だぜ。まだ先は長いさ。」

「孤独だと紆余曲折しちゃうかもね。」

「自分の限界がわかるからいいじゃねぇか。それを突破できるように新たに策を練るさ。」

「随分と前向きなのね。」

悪戯に微笑む彼女。

言葉がすらすらと出てくる彼女の瞳には一切の迷いはなかった。

そして彼女の目は外光によりきらきらと輝き、心までが純粋かのように錯覚する。

いやもしかするとその錯覚が正しいのかもしれないが・・・。

「なぁ、俺たちって本当に似た者同士だと思うか?」

「そんなこと知らないわ。だって今日初めてあなたと会話したのだから。」

「そうだよな。よかったらさ、俺とSNSの連絡先交換しないか?今日会ったのも何かの縁だからさ。」

いいわよとポケットからスマホを取り出した彼女。

僕もスマホを取り出し、連絡先を交換した。

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